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當舎 武彦, 岡田 昇大, 依田 芳卓
2018 年6 巻2 号 p.
153-155
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
一酸化窒素還元酵素(NOR)は、ヘム鉄と非ヘム鉄からなる複核中心を活性部位にもつ膜結合型の金属酵素であり、2分子の一酸化窒素(NO)を2当量の電子とプロトンを利用し、亜酸化窒素(N
2O)に還元する。本研究では、核共鳴非弾性散乱(NRVS)測定によりNORの活性部位の詳細な構造情報を得ることを目的とし、その試料の調製法や測定条件を検討した。
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小幡 誉子, 森脇 太郎, 池本 夕佳, 太田 昇
2018 年6 巻2 号 p.
156-158
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
代表的な脂質を組み合わせて調製した脂質モデルは、脂質組成によって赤外吸収特性が異なった。CH
2 面内変角はさみ振動の比較において、皮膚表面温度付近で直方晶の存在を示唆する吸収ピークのスプリットが明確に認められる処方と、皮膚表面より低温ですでにピークが単一となっている処方があった。温度走査に伴う相転移挙動から推定される充填構造の変化は、微量脂質の添加の割合により大きく影響を受ける可能性が示唆された。
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當舎 武彦, 依田 芳卓
2018 年6 巻2 号 p.
159-161
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
膜結合型一酸化窒素還元酵素(NOR)は、ヘム鉄と非ヘム鉄からなる複核中心を活性部位にもっており、2分子の一酸化窒素(NO)から亜酸化窒素(N
2O)に還元する反応を触媒する。本研究では、NOR の活性部位構造を検討できる手法として核共鳴非弾性散乱(NRVS)に着目し、酸化型、還元型、配位子結合型試料の測定を行った。
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水野 章敏, 堀江 優莉香, 松原 宏次, 藤原 直子, 渡邉 匡人
2018 年6 巻2 号 p.
162-165
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
本研究では1500 K以上の融点をもつ高温融体について、凝固界面近傍における幾何学的原子配置をその場観測することにより、凝固現象における液相構造と固相構造の相関を明らかにすることを目的とした。そのため、レーザー加熱型ゾーンメルト法を用いた高温融体の放射光X線回折実験装置を構築し、円柱試料の凝固界面近傍における構造因子の取得に成功した。
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寿野 良二
2018 年6 巻2 号 p.
166-169
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
AAA+プロテアーゼはリング構造を形成し、中心の孔に基質ポリペプチド鎖を通して内部のプロテアーゼ活性部位に送り込むと考えられている。これにはATP加水分解に伴う構造変化が重要であることが知られている。我々は膜結合型AAA+プロテアーゼFtsHの構造変化に着目してその可溶性ドメインの構造決定を目指している。現在までに、AMP-PNP存在下で作製した結晶から、3.45 Å 分解能のX線回折データを得、分子置換法で解を得た。
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久保 友明, 岩里 拓弥, 肥後 祐司, 今村 公裕
2018 年6 巻2 号 p.
170-173
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
D-DIA型高圧変形装置に一軸圧縮変形セルと単純せん断変形セル、二軸摩擦変形セルを組み込んで比較実験を行った。単純せん断変形セルを用いた実験では試料部で均質なせん断変形が起こったがその歪み量は小さく、また応力解析からせん断変形に加え一軸圧縮成分の寄与が認められた。二軸摩擦変形セルを用いた実験ではピストン−試料間で局所変形(スリップ)が起こり、ラジオグラフィー像の時分割測定からそれは安定すべりであることが示唆された。
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當舎 武彦, 依田 芳卓
2018 年6 巻2 号 p.
174-177
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
膜結合型一酸化窒素還元酵素(NOR)は、ヘム鉄と非ヘム鉄からなる複核活性中心をもっており、2分子の一酸化窒素(NO)を2当量の電子とプロトンを利用して、亜酸化窒素(N
2O)へと還元する反応を触媒する。本研究では、NORの活性部位構造の詳細を調べるために、核共鳴非弾性散乱(NRVS)に着目した。活性部位に基質の類似体であるシアン化物イオンを結合させた試料の測定を行い、鉄とシアン化物イオン間の振動モードの帰属を試みた。
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藤枝 正, 青柳 拓也, 小原 真司
2018 年6 巻2 号 p.
178-180
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
マイクロ波加熱によるバナジウム系ガラスからの高導電率結晶の選択結晶析出メカニズムを解明すること目的に、高導電率および低導電率の結晶が析出するバナジウム系ガラスをマイクロ波加熱および急速加熱可能な高温ガス吹付け加熱した後、析出結晶種をXRD測定により同定した。マクロ波加熱の場合、高導電率結晶の結晶化ピーク温度以上では、ほぼ高導電率の Cu
xV
2O
5 (x = 0.26-0.55)のみが析出した。一方、高温ガス吹付け加熱の場合、いずれの加熱温度においても、より多くの未知の結晶や低導電率結晶である V
2O
5 の析出が認められた。
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綿貫 徹, 町田 晃彦
2018 年6 巻2 号 p.
181-184
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
Au–Al–Yb合金正二十面体型準結晶は、Ybイオンが非整数価数状態をとるという価数揺らぎを持つ系である。この準結晶のYbイオン価数の圧力依存性を調べるために、Ybの価数変化がイオン半径の変化を通じて構造に反映されることを利用して、高圧下のX線回折実験による構造観察を行った。参照系のAu–Al–Tm準結晶の結果と比較することにより、Yb価数変化に関わる構造変化を抽出した。12 GPa までの加圧において、Yb価数が、加圧初期段階で急激に増加する一方で、加圧とともにその増加率が大きく鈍っていくことを示す結果が得られた。
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町田 晃彦, 綿貫 徹, 榊 浩司, Kim Hyunjeong, 浅野 耕太, 中村 優美子
2018 年6 巻2 号 p.
185-189
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
水素貯蔵合金の水素化反応過程の構造変化を放射光その場X線回折測定によって観測するため、新たな試料容器の試験を実施した。Bragg反射が生じないポリイミドチューブを用いた試料容器では LaNi
4.5Al
0.5 は水素化に成功したが、V系BCC合金は水素化が進行しなかった。ポリイミドチューブと同程度の内径のアルミニウム製チューブを用いた容器ではV系BCC合金でも水素化による回折パターンの変化が観測されたため、様々な種類の水素貯蔵合金に対する水素化反応過程その場Ⅹ線回折測定用としてポリイミドチューブを試料容器に用いるには改良が必要であることが確認できた。
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Cho-ying Lin, Deng-Sung Lin
2018 年6 巻2 号 p.
190-193
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
We have carried out hard X-ray photoemission spectroscopy (HAXPES) measurement of the multilayer oxides on the Si(100) surface. Despite of many difficulties, we were able to acquire some data which provides us some further understanding of these buried oxide layers.
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谷屋 啓太, 松本 佳樹, 桶本 篤史, 市橋 祐一, 西山 覚
2018 年6 巻2 号 p.
194-198
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
Snを水素雰囲気下の液相中で Pt/SiO
2 上に還元析出させた Sn-deposited Pt/SiO
2 触媒におけるSn種の局所構造についてX線吸収微細構造(XAFS)測定を行った。これまでに液相中で還元されたSn種が空気雰囲気にさらされると容易に酸化されることが示唆されている。本研究課題では析出Sn種の酸化を抑制するために、調製した触媒が溶媒で湿潤した状態(Sn-deposited Pt/SiO
2 (wet))でのXAFS測定を試みた。XANESの結果から、Sn-deposited Pt/SiO
2 (wet)においても Pt/SiO
2 上に析出したSn種は4価に近い状態で存在していることがわかった。また、EXAFSの結果から、Snの最近接にはO原子が存在することが示唆された。
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三星 智, 杉山 武晴, 原田 明
2018 年6 巻2 号 p.
199-202
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
X紫外可視吸収スペクトルから得る情報を最大化することを目的としてX線吸収−紫外可視吸収相関分光法の開拓を試みた。溶液中の各種Fe錯体系に関して、X線吸収(吸収端および広域)と紫外可視吸収の両スペクトルの同時測定系を開発し、塩素イオン濃度、光照射時間、温度等への依存性を測定・解析した。X線吸収端構造と紫外可視スペクトルとの相関、動径構造関数と紫外可視スペクトルとの相関を検討し、2次元相関スペクトルを得て紫外可視吸収帯の錯体構造/価数への帰属の明確化を試みた。
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橋本 敬, 本多 定男
2018 年6 巻2 号 p.
203-205
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
放射光を用いた非破壊的な高感度X線回折法によって、乱用薬物の危険ドラッグの結晶構造解析を行った。測定は結晶をメノウ乳鉢で粉砕しリンデマン製ガラスキャピラリー(内径 0.3 mmΦ)に入れ粉末X線回折測定を行った。測定データの解析はEXPOを用いた直接法により初期構造を決定し、リガクのPDXLを用いて精密化を行うことができた。
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大門 寛, 田口 宗孝, 松井 文彦, 松下 智裕, 堀江 理恵, 北川 哲, 橋本 由介, 前島 尚行, 秋光 純, 高阪 勇輔, 辻川 ...
2018 年6 巻2 号 p.
206-207
発行日: 2000/10/02
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
カイラルな結晶構造を有する螺旋磁性体 CsCuCl
3 の結晶構造に由来する螺旋構造の研究を行う為、SPring-8のBL25SUに設置されている二次元表示型球面鏡分析器(DIANA: Display-type spherical mirror analyzer)を用いて二次元光電子分光測定を実施した。
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岸本 俊八, 浦川 啓, 寺崎 英紀, 桑原 荘馬, 西田 圭佑, 坂巻 竜也, 竹内 晃久, 上杉 健太朗
2018 年6 巻2 号 p.
208-211
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
形成期の惑星内部で起きた金属核と珪酸塩マントルの分離過程について高温高圧実験とX線CT測定を用いて調べた。部分溶融したマントル内でFe-Sメルトはその体積が10~18%を超えるとネットワークを形成する。その結果、Fe-Sメルトはマントルを浸透流として沈降し重力分離を起こす。また、マントルが高いメルト分率を持ち液体的に振る舞う場合、マントルの上にあるFe-Sメルト層は直ちにダイアピルを形成し沈降を始める。
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若林 昌嘉, 堤 祐司
2018 年6 巻2 号 p.
212-214
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
ニセアカシアは高濃度のCdを地上部に蓄積することができるため、Cd汚染土壌の浄化に有用な植物と言える。加えて木本植物であるニセアカシアは、既往の研究で主に用いられていた草本植物と異なり肥大成長することから、草本植物よりも多量のCdを肥大成長部位に蓄積できる可能性がある。本研究で、BL37XUにおいて蛍光X線分析によりニセアカシアの根におけるCdの局在を分析した結果、Cdが根の肥大成長部位である二次師部および二次木部に存在しており、木本植物の肥大成長に伴うCd吸収量の増加が見込まれた。
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岡林 智仁, 石川 左枝, 平邑 隆弘, 上杉 健太朗, 星野 真人
2018 年6 巻2 号 p.
215-218
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
口腔内崩壊錠は少量の水により錠剤が崩れることを特長とした経口投与薬の剤形の1つである。この迅速な錠剤崩壊メカニズムを、水が錠剤内部に浸透する導水過程と、浸透した水が誘引する崩壊過程に分け、それぞれについて透過型X線やX線CTを用いた観察を行った。これらにより、賦形剤組成そのものが有する優れた導水力が速やかな錠剤崩壊を引き起こす重要な因子であることがわかった。
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寺岡 有殿
2018 年6 巻2 号 p.
219-222
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
粘土鉱物に吸着したセシウムの化学結合状態に関する情報を得るため、粘土鉱物の一種であるバーミキュライトにセシウムを吸着させ、軟X線放射光を用いた高分解能光電子分光を試みた。粘土鉱物の絶縁性のために粉末試料の帯電は避けられず、試料の成分元素の光電子ピークを解析することは困難であるが、帯電シフトしない光電子ピークも観測されたことから、バーミキュライトに吸着したセシウムの内殻結合エネルギーを評価できることが分かった。
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矢代 航, 高野 秀和, 竹内 晃久
2018 年6 巻2 号 p.
223-225
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
ビームスプリッターとミラーを一体化した光学素子を開発し、オフアクシス型のシアリング型硬X線結像顕微法の実現可能性について調べた。ドライエッチング技術により、厚さ約 0.5 μm のビームスプリッターとミラーを同一シリコン基板上に作製した。X線イメージングの実験は 9 keV の単色X線により行った。ビームスプリッターの反射X線と透過X線の強度のバランス、形状精度などの問題から、干渉像を得るには至らなかったが、今後、本研究を進める上での課題と限界が明らかになった。
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山本 惠三
2018 年6 巻2 号 p.
226-229
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
IMP-6メタロ-β-ラクタマーゼ(IMP: imipenemase、イミペネム分解酵素)は、IMP-1からS196Gのアミノ酸置換により生じた酵素である。IMP-1ではイミペネム、メロペネムに対する活性が同程度であるのに対し、IMP-6はメロペネムに対する活性が、イミペネムに対する活性の約7倍に増加する。本研究では、IMP-6の基質特異性が変化した原因を探るために、X線結晶構造解析を試みた。その結果、分解能は不十分ながら、基質との疎水性相互作用の変化が原因であることが示唆された。
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須藤 幹人, 小島 克己, 伊藤 孝憲, 高尾 直樹, 菖蒲 敬久
2018 年6 巻2 号 p.
230-233
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
缶用薄鋼板の曲げ加工に伴う周方向ひずみの板厚方向分布を放射光X線回折によるひずみスキャニング法で実測した。曲げ半径の減少に伴いひずみ分布が板厚表裏で不均等になることが示され、鋼板内部の応力不均等分布を考慮したスプリングバック予測式を新たに導出した。
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佐藤 眞直
2018 年6 巻2 号 p.
234-236
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
測定能率向上を目的として、2012年度夏季停止期間に水平集光ミラーを光学ハッチに導入して入射X線ビームフラックスを向上することによる信号強度増強を検討しているBL19B2のX線小角散乱装置において、改造による信号強度利得を評価するために、参照試料(界面活性剤混合試料、Cu-Cu合金試料)の小角散乱プロファイル測定を行った。
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土井 教史, 宮澤 知孝, 佐藤 眞直
2018 年6 巻2 号 p.
237-240
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
構造用鋼材の強度特性の制御因子として、組織形態、組織機械特性の違いによる鋼材中の応力分布の応答性を実験的に確認できる手法の確立を目指している。フェライト-オーステナイト二相ステンレス鋼から組織形状の異なる2種の試料を切り出し、それぞれ外力を印加しながら白色マイクロビームX線を試料に入射し回折データを得た。結果、組織形態により結晶相に誘起される応力状態が異なることが確認できた。
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豊田 誠治, 宮津 純, 小林 潤也
2018 年6 巻2 号 p.
241-244
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
電気光学結晶K
yLi
1-yTa
xNb
1-xO
3(KTN)結晶のトラップに関する知見を得るためにTa、Nb吸収端のXAFSを測定した。XAFSの測定結果を解析したところ、KTN結晶のNbおよびTaの化学状態に対するトラップの影響は確認できなかった。一方、最近接のTa-Taおよび最近接のNb-Nbに基づくXAFS信号が弱いことがわかった。これは、KTN結晶のTaとNbがクラスター的に集合しているのではなく、ランダムに配列しているためと考えられた。
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佐藤 眞直
2018 年6 巻2 号 p.
245-249
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
BL19B2のX線小角散乱装置は測定能率向上を目的として、2012年度夏季停止期間に水平集光ミラーを光学ハッチに導入して入射X線ビームフラックスを向上することによる散乱信号強度増強をおこなった。本実験では、参照試料(グラッシーカーボン、界面活性剤混合試料)の小角散乱プロファイル測定を行い、水平集光ミラー導入前の2012A期に実施した同参照試料の事前測定データと比較することにより、改造による信号強度利得の評価を行った。その結果約50倍の利得を得ることに成功していることがわかった。
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山田 昌弘, 神里 良, 吉田 慎二, 足立 大樹, 山崎 徹
2018 年6 巻2 号 p.
250-255
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
Zr-Cu-Ni-Al系金属ガラスにおけるPd、Au等の貴金属元素の添加は、非晶質構造中にナノクラスターを形成し、塑性変形能を改善させる。また、Au添加合金においては、ガラス転移温度( Tg )以下でのAnnealによって、さらに大きく塑性変形能が改善する。本研究では、Zr-Cu-Ni-Al-(Pd, Pt, Ag or Au)系金属ガラスのAnneal前後でのX線小角散乱を測定し、非晶質構造の不均一性について評価した。Au添加合金では、Ag、Pt添加合金と比べて、圧縮破面近傍での散乱強度の増加が小さく、せん断帯付近における不均一性の成長が抑制されることから、高い塑性変形能を示すと考えられる。
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小橋 正, 内海 康彦, 柿森 伸明, 佐藤 充孝, 中平 敦
2018 年6 巻2 号 p.
256-260
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
液晶テレビに使用されているガラスを原料として合成したゼオライトと、原料のガラス中のSrの局所構造をXANESにより評価した。その結果、ゼオライトの生成量を増加する効果をもたらすガラス原料の酸処理によって、ガラス原料中のSr濃度は変化するが局所構造は変化していないことが判った。また、生成したゼオライト中のSrの局所構造をXANESで評価した結果、ガラス原料中のSrはゼオライトの構造には寄与せず、合成後もガラス原料中のSrと同じ局所構造を示すことが判明した。
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佐藤 眞直
2018 年6 巻2 号 p.
261-265
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
BL19B2における極小角X線散乱(USAXS)測定、および小角X線散乱(SAXS)測定のバックグラウンド低減の為、真空パス等の測定装置の構成部品起因のBG源の特定、サンプル周りの空気散乱のビームパス長さ依存性の検討、真空パスの窓からの散乱プロファイルについて窓材(カプトン、スペリオUT、Be窓)による違いの検討を行った。BG源の特定についてはカプトンフィルムを散乱体としてUSAXS測定の光学系の途中に挿入し、BGプロファイルへの影響を検討することで行った。その結果、USAXS測定のサンプルを設置している第2実験ハッチ内がBG源になっている可能性が高いことがわかった。また、サンプル周りの空気パスからの散乱については、USAXS測定ではその長さ変更によってBGプロファイルに影響がほとんど見られないことからこの空気パスからの散乱のBGへの寄与はほとんどないことがわかった。一方SAXS測定ではこの空気パスを長くすると高q域のBGが大きくなる影響が確認された。真空パスの窓材からの散乱についてはスペリオUTフィルムがカプトンフィルム、Be窓よりもUSAXS、SAXS測定ともに十分に散乱が小さく、BG抑制に適した窓材であることが確認できた。
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西野 英里子, 朝澤 浩一郎, 田中 裕久, 西畑 保雄
2018 年6 巻2 号 p.
266-269
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
アニオン交換形燃料電池に用いられる電解質膜について、分子設計によりイオン交換基由来の親水性ドメインの制御を精密に行うことにより、必要とされるイオン伝導度と燃料・ガスバリア性の両立ができると考えている。今回、親水性ドメインのサイズを数値化することにより、性能との相関を取り、材料開発へのフィードバックを目的として分子構造の異なる電解質膜についてSAXSを用いた解析を行った。イオン交換基を付与する前の電解質膜はブロードな1種の相関長ピーク(48 nm)しか有さないのに対し、イオン交換基を付与した電解質膜は、2種の相関長ピーク(2.7 nm, 25 nm)を有しており、含水による相関長増加が確認できた。
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武井 悠記, 遠藤 貴弘, 松友 愛香莉, 渡辺 久, 門麿 義浩, 宇井 幸一
2018 年6 巻2 号 p.
270-276
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
固溶体正極材料 aLi
2MnO
3-(1-a)Li(Ni
xMn
yCo
z)O
2 (x+y+z=1) (以下OLOと呼ぶ)の、長期充放電サイクルに伴う放電電圧の降下に関して、透過法と転換電子収量法を併用した解析手法によりバルクと表面近傍のどちらが起因しているかを特定することを目的としてXAFS測定を行った。結果、長期充放電サイクルにおいて、CoよりもMnとNi周りの局所構造が大きく変化しており、長期充放電サイクルに伴うMnおよびNiを中心とした構造変化が ΔV 現象の要因として考えられた。
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小橋 正, 鴻池 知輝, 内海 康彦, 柿森 伸明, 佐藤 充孝, 八木 俊介, 中平 敦
2018 年6 巻2 号 p.
277-280
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
使用済み液晶ディスプレイに使用されているガラス基板を原料として、作製したゼオライトに含まれている遷移金属であるCuおよびInの局所構造をXAFSにより調べた。その結果、廃液晶ディスプレイガラスから合成したゼオライトには、ガラス基板の電極中に含まれているCuが2価イオンと類似の構造で存在していることがわかった。また、Inは合成前後で In
2O
3 と同様の局所構造をとっていることが判明した。
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藤原 康文, 小泉 淳, 桒田 宗一郎, 朱 婉新, 高野 翔太, 児島 貴徳, 大渕 博宣, 本間 徹生
2018 年6 巻2 号 p.
281-285
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
Eu添加GaNによる赤色発光ダイオードの高輝度化を目的として、高濃度Eu添加とEuイオン周辺局所構造の制御技術の確立を目指している。これまでに、酸素を共添加することで、Eu添加GaNの発光ピーク強度が増大し、X線吸収微細構造(XAFS)測定においてスペクトルの変化も観察された。ところが、二次イオン質量分析により酸素濃度とEu濃度を比較したところ、添加された酸素濃度はEuに対して数%程度であったことから、XAFS測定にて観察された構造変化をEuと酸素の複合体の形成だけでは説明できないことが分かった。新たなモデルとして、酸素がドナーとして働くことにより導入される欠陥の濃度が変化することで、励起されやすいEuイオン周辺局所構造が形成されることが考えられた。そこで、GaN中でドナーとなるSiを導入し、酸素共添加と同様な発光スペクトルの変化とEuイオン周辺局所構造の変化が生じるのかを調べた。X線吸収端近傍構造(XANES)測定の結果、これまでのEu原料(Eu(DPM)
3)を用いて作製したEu添加GaNと似たスペクトルが現れた。Si原料であるモノメチルシラン(MMSi)流量を一定として、Eu濃度に対する依存性の評価においても、差はほとんど生じないことが分かった。
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橋本 敬, 本多 定男, 青山 光輝, 八木 直人
2018 年6 巻2 号 p.
286-291
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
放射光を用いた小角および広角散乱分析法によって、ポリ袋などのポリエチレンフィルムの分析を行った。測定はフィルムの垂直方向にX線を入射し散乱の二次元回折像から2θプロファイルを算出した。小角散乱データからはポリエチレンのLDPE、LLDPE、HDPEの種別を識別することができ、同一種別内の製品グレードの異同識別も可能であることが分かった。
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高松 大郊, 平野 辰巳, 春名 博史, 遠山 達哉, 廣岡 誠之, 谷田 肇, 新田 清文
2018 年6 巻2 号 p.
292-296
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
リチウムイオン二次電池(LIB)の車載用途や屋外への設置が期待されており、高温・低温といった過酷環境下において実電池内部で起こる現象をその場解析する技術が要望されている。そこで、実電池と同じ構成からなる薄膜型ラミネートセルを作製し、温度制御下での全反射蛍光XAS(X-ray Absorption Spectroscopy)による電極/電解質界面その場計測に取り組んだ。
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三原 諭, 網野 直也, 鈴木 翔, 西辻 祥太郎, 竹中 幹人
2018 年6 巻2 号 p.
297-301
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
周期変形下におけるシリカ充填ゴムの内部構造変化を、時分割超小角X線散乱にて観察した。
q = 0.02 - 0.03 nm
−1 付近の散乱強度の時間依存性を調べたところ、変形方向と、変形に対して垂直方向で、大きな位相のずれを観測した。この結果はシリカ充填ゴムに変形を印加するとシリカの分散構造の不均一化が起こることを示唆する。シリカ用変性SBRでは、シリカのアグリゲートの基本単位の構造を表す
q = 0.02 - 0.03 nm
−1 付近のショルダーが、未変性SBRに比べて広角側にシフトすることがわかった。また、シリカ用変性SBRのtanδは、未変性SBR配合ゴムに比べて相対的に低い値を示すことから、シリカ充填SBRのエネルギーロスはシリカのアグリゲートの基本単位の大きさに強く依存することが示唆された。
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高垣 昌史, 井上 大輔, 古川 行人, 飯原 順次, 本間 徹生
2018 年6 巻2 号 p.
302-304
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
BL14B2において開発を進めてきた遠隔XAFSシステムの実地テストとして、遠隔地よりBL14B2に接続し、一連の透過配置測定操作を行った。安定な接続性とストレスのない操作感で実験を遂行できることが確認された。
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小橋 正, 鴻池 知輝, 内海 康彦, 柿森 伸明, 佐藤 充孝, 八木 俊介, 中平 敦
2018 年6 巻2 号 p.
305-309
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
液晶ディスプレイガラスから合成したガラスゼオライトのCuの局所構造を調べるため、液晶ディスプレイガラス基板の電極中に含まれるCuがゼオライト合成後にとる局所構造と、合成後にさらにイオン交換によりCuを担持させた際の局所構造の変化をXAFSにより分析した。電極中に含まれるCuは、合成後にゼオライトに取り込まれた場合と、合成後にさらにイオン交換によりCuを担持させた場合とでは、XANESスペクトルが異なり、もともと電極中に含まれていたCuはイオン交換サイトに存在するCuと異なる局所構造をとることが示唆された。また、原料ガラスの粒径によっても生成物のCuの局所構造が異なることが判明した。
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小谷 久, 合谷 祥一, 平松 修一, 山野 善正
2018 年6 巻2 号 p.
310-314
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
パン粉の油切れは、添加する材料によって性質が異なることが経験的に分かっているが、具体的にどういう現象が起きているのかは解明できていない。表面の微細構造によって親水性、疎水性の性質が現れているのではないかと考え、BL46XUのX線CTを用い、製造方法及び組成の異なるパン粉の微細構造観察を試みた。特に、微細表面構造における、油調済みパン粉と油の界面の観察と、パン粉内部の油の分布状況を観察した。
その結果、測定前に予想された、各種油調済みパン粉の微細表面構造と油浸漬部との境界面に空気の層の存在は確認できなかった。また、どのパン粉も内部に、油に浸漬されていない空孔を有していた。定性的ではあるが、油に満たされていない空孔は、油調済み焙焼パン粉及び油調済み電極パン粉より、電極式で作成した油調済み裸麦 50% 含有パン粉の方が多かった。マイクロX線CTから構築した3D画像から、裸麦50%含有パン粉の油に満たされていない空孔は、ダブル・リ・エントラント構造ではないかと推測した。
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大生 和博, 熊谷 忠浩, 飯尾 歩美, 梶原 くるみ, 八田 一郎
2018 年6 巻2 号 p.
315-318
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
旭化成が開発した新規の経皮吸収促進剤は、水溶性薬物に対し経皮吸収促進作用を有する。水溶性薬物の経皮透過メカニズムを解明するために、SPring-8の高輝度X線を用いた小角・広角X線回折実験により、経皮吸収促進剤適用時の皮膚の構造変化の観測を試みたところ、製剤適用直後のごく短時間で細胞間脂質ラメラ構造に影響を与えていることを示唆する結果を得た。
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黒岡 和巳, 上野 巌, 畑 秀樹, 米住 元匡
2018 年6 巻2 号 p.
319-324
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
大量の水素を安定的に安価で貯蔵する技術開発が望まれており、我々は、水素貯蔵ができる新規Pd含有材料の開発を行っている。今回、本材料の水素貯蔵メカニズムについて細孔径が異なるゼオライト(4A、13X、4Aナノ、ZSM5)から合成したPd含有ゼオライトへの水素の貯蔵・放出過程での構造変化を、Pd-K端の in-situ XAFS測定を行うことによって評価した。
今回の実験では、いずれの試料もPdは水素暴露によってPd-Oが還元され、Pd-Pd距離が金属Pdの距離よりも伸びていること、水素貯蔵後に温度を上げるとPd-Pd距離が短くなったことから、今回の材料では、水素はPd-Pd間に導入され、加熱によって脱離し、Pd金属に変化していることが確認できた。しかしながら、細孔サイズによる吸着挙動に差異は明らかにできなかった。
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曽根 卓男, 冨永 哲雄, 湯淺 毅, 千賀 寛文, 山村 浩樹
2018 年6 巻2 号 p.
325-329
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
低燃費タイヤに用いられる末端機能化スチレン・ブタジエンゴムの基礎データとして、BL19B2に設置した一軸延伸装置を使用し、加硫ゴムシートを延伸させながら、応力と小角X線散乱の同時測定を行い、補強剤として使用されるシリカの凝集状態や階層構造の変形挙動を観察した。延伸倍率の増加に伴い、補強剤に由来する二次元散乱像の異方性は大きくなった。そして、異方性の大きさは官能基の有無に依存し、重合体末端と補強剤表面との相互作用の強さが、変形時の凝集状態や階層構造に大きく影響を及ぼした。
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岸 浩史, 坂本 友和, 山口 進, 松村 大樹, 田村 和久, 西畑 保雄
2018 年6 巻2 号 p.
330-333
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
貴金属を使用しない燃料電池カソード触媒の反応機構を明確にするために、X線吸収微細構造(XAFS)のその場測定に取り組んでいる。今回、Fe錯体触媒の選択性向上に寄与する局所構造(Feメタル粒子低減)[1]の生成要因を検証するため、異種材料(前駆体)で合成中(材料混合、熱処理)の触媒についてFeの配位数・価数の差異を調査した。ex-situ 解析から異種前駆体を用いた触媒において、材料混合時にFeメタル粒子のピーク強度に差異がみられた。また、熱処理中の in-situ 解析から前駆体の融点近傍でFeの価数が大きく変化していることが分かった。Feの局所構造および電子状態に前駆体種の寄与が大きいことを示唆する結果を得た。
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加々良 剛志, 長島 大, 和泉 篤士
2018 年6 巻2 号 p.
334-338
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
X線回折法による半導体パッケージ用封止樹脂/銅リードフレーム界面の残留応力について評価を実施した。これまでの検討より、リードフレームを用いた実パッケージの評価には散乱、受光スリット(SS, RS)を用いるダブルスリット光学系にすることで、誤差の抑制が可能であることを見出した。本検討ではスリットサイズの最適化を行い、SS、RSの縦サイズを 2.0 mm にしたとき、最も誤差を抑制できる結果を得た。しかしながら、この手法による評価可能なパッケージ種が限定されることも判明し、汎用性の高い評価手法の検証が求められる。また熱時のその場観察評価では、加熱による応力変動を捉えることに成功し、残留応力の制御に繋がる有益な情報を得た。
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米内 一郎, 篠﨑 俊介, 山口 はるな
2018 年6 巻2 号 p.
339-344
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
インク、インクから顔料を抜いたワニス、インクを遠心分離して得られた上澄み液について、小角X線散乱(SAXS)および超小角X線散乱(USAXS)を測定した。その結果、分散剤およびバインダーは液中ではミセル状態で存在していることが分かった。また一方、インクに各種添加剤を加えたレジスト膜の測定では、顔料の平均粒径がインク分散時よりやや小さくなっていることが、得られたデータから示唆された。
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小川 渉, 鞍谷 文保, 文珠 義之, 小出 俊雄, 菖蒲 敬久, 佐藤 眞直, 筧 瑞恵, 長村 光造
2018 年6 巻2 号 p.
345-347
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
本研究では、シンバルの音質において重要な要素となる音の減衰時間と材料の転位密度との相関を明らかにすることにより、音質を制御するための材料設計及び加工工程設計の指針を得ることにある。2種類の素材を用いてシンバルに加工すると、減衰が速いシンバル、遅いシンバルの2種類のシンバルを作成できることがわかっており、特に減衰が速いシンバルは転位密度が向上していると推察した。しかし解析の結果、シンバルへの加工が主安定相から準安定相への相変態を誘起していることを示唆しており、当初の推論の見直しが必要となった
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福住 謙亨, 平井 雄一郎, 中谷 哲, 水垣 共雄, 本間 徹生
2018 年6 巻2 号 p.
348-351
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
酢酸の高選択的水素化によるアセトアルデヒドへの変換反応を目的として、高活性を示すPdFe合金触媒の開発を実施した。Pd原料とFe原料の蒸発乾固法により調製した Pd-Fe
2O
3 触媒は、酢酸の水素化によるアセトアルデヒドへの変換反応において高活性、高選択性を示した。Feに対するPd量が異なる各触媒をPd K殻及びFe K殻 in situ XAFS測定することにより、高温、水素雰囲気下においてPdFe合金を形成すること及びPdFe合金生成量と触媒活性に相関があることを確認した。
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加々良 剛志, 長島 大, 和泉 篤士
2018 年6 巻2 号 p.
352-355
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
半導体パッケージ基板用樹脂の熱硬化過程における残留応力評価をX線回折法により実施した。2次元検出器PILATUS 300Kを用い、入射X線ビームサイズと試料へのX線露光時間を検討することにより、1測定3分という高速評価手法を確立し、熱硬化過程において測定のために発生する試料への温度履歴の影響を抑制した、短時間での応力挙動評価を可能とした。また、熱硬化過程の評価結果より、残留応力の発生は樹脂硬化が一因であることや、各温度で生じる残留応力は樹脂の硬化状態を反映していることを明らかとした。
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村田 澄彦, 村松 玲奈, 小林 和弥, 俵谷 侑吾, 久保田 歩, 西本 尚矢, 日高 悠貴, 井上 陽太, 三野 泰之, 村上 幸弘, ...
2018 年6 巻2 号 p.
356-360
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
劈開面のカチオンを Mg
2+ と K
+ にしてステアリン酸を吸着させた白雲母基板に対して 20 keV の入射X線エネルギーでX線CTR散乱法の測定を行い、酸性油分子の吸着構造のカチオン依存性を実験的に確認することを試みた。その結果、L = 12.1 以上の測定でCTR信号にピークが現れず十分なデータが得られなかったが、データが得られた範囲でMD計算結果に基づくモデルとのフィッティング計算を行ったところ、MD計算結果のとおり、ステアリン酸は K
+ および Mg
2+ それぞれで cation bridge 構造および water bridge 構造を取って吸着していることが示唆された。今後、L = 12.1 以上でピークが見られなかった原因について検討するとともに、白雲母基板と酸性油界面近傍における電子密度分布を求め、白雲母表面の吸着構造のカチオン依存性を確認する。
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村田 澄彦, 村松 玲奈, 井上 陽太, 小林 和弥, 米林 英治, 西本 尚矢, 清水 悠太郎, 高橋 悟, 三野 泰之, 加藤 正人, ...
2018 年6 巻2 号 p.
361-364
発行日: 2018/08/16
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
原油中の酸性油分子の白雲母表面((001)面)への吸着は、表面のカチオンが Na
+ や Mg
2+ の場合に水分子を介して吸着するwater bridge構造となり、K
+ や Ca
2+ の場合に直接吸着するcation bridge構造となることが分子動力学(MD)計算により分かってきた。本実験では、白雲母表面のカチオンを K
+、Ca
2+、Mg
2+ にして酸性油分子のステアリン酸を吸着させた白雲母基板に対して 20 keV の入射X線エネルギーでX線CTR散乱法の測定を行い、酸性油分子の吸着構造のカチオン依存性を実験的に確認することを試みた。今回、前回2017A1828の実験での問題点に対して対策を行った結果、
L = 0.2 から
L = 13.9 の範囲で概ね良好なデータが得られた。また、白雲母基板表面近傍の電子密度分布の解析結果から、白雲母表面に対するステアリン酸分子の吸着構造はMD計算の結果と整合すると考えられた。
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