抄録
蛍光X線の検出角度依存性を利用した深さ分解X線磁気円二色性 (XMCD) 測定法を開発した。表面研磨したネオジム焼結磁石試料に適用し、試料の減磁過程において Nd L2 吸収端での元素選択的磁化曲線を取得した。その結果、異なる蛍光X線検出角度、すなわち試料表面から検出深さに対して保磁力の値が変化することを見出した。得られた磁化曲線をモデルフィッティングで解析し、表面から 3.2 µm までの深さでは保磁力が試料内部の1/2に低下していることを明らかにした。本手法は、ネオジム永久磁石やサマリウムコバルト磁石等、微細組織を有する永久磁石の深さ分解磁化解析に応用が可能である。