抄録
液体 Se-Te 混合系は温度や組成の変化により、連続的な構造転移を示すことが古くから知られている。転移に伴い密度がメゾスコピックに不均質になることが1980年代には提唱されていたが、永らくその実験的な証拠は得られていなかった。この問題に対して我々は、SPring-8/BL04B2を利用した小角X線散乱測定により、その微小な密度ゆらぎの変化を検知することに初めて成功し、2012年の論文で発表した。ただこの実験には不備な点が一つあった。BL04B2は分光結晶が一枚ふりであるため入射光への高調波の混入を避けらないが、検出器にエネルギー分解能のないイメージングプレートを使用したため、完全な単色X線の散乱スペクトル測定ではなかった。そこで今回、Ge半導体検出器とシングルチャンネルアナライザーから成る測定システムを用いることで、散乱光をエネルギー選別した測定を行い、前回の実験結果の妥当性の検証を行った。