抄録
強相関遷移金属化合物に現れる電荷秩序に関連した電荷励起を探索するため、La1.875Ba0.125CuO4、および、CuIr2S4 の共鳴非弾性X線散乱実験を行った。La1.875Ba0.125CuO4 では電荷秩序の伝搬ベクトルに対応した運動量で励起が観測されたが、秩序のない La1.70Sr0.30CuO4 でも同様に観測されたため、電荷秩序に直接関わる励起ではないと結論した。CuIr2S4 では金属絶縁体転移に対応する強度変化が 0.5 eV 以下の領域で観測されたものの、それと同時に起こる電荷秩序に関わると考えられる励起は観測されなかった。得られた実験結果からこれらの物質での電荷秩序・相転移を引き起こす相互作用のエネルギースケールについて議論を行う。