抄録
不純物誘起強磁性を示す CaRu1-xFexO3 (x = 0.10, 0.20)における Fe イオン周りの結晶構造・磁気構造を調べるために、Fe K-吸収端でのX線吸収微細構造(XAFS)測定およびX線磁気円二色性(XMCD)測定を行った。XAFS スペクトルの形状および温度・磁場依存性から、強磁性相関の発現に関連した RuO6 八面体の持つ結晶場の対称性の変化はないと示唆される。強磁性状態にある 2 K において XMCD スペクトルが観測されたが、信号強度が非常に弱く、磁気構造解析に耐えうる実験データを得るには至らなかった。