抄録
分子線エピタキシー法を用いた GaAs(001) 基板上への InGaAs 薄膜成長中のIn偏析過程の解明を目指し、放射光を用いたX線回折法を用いてリアルタイム測定を行った。回折強度計算と実験結果との比較から、成長中の膜中の In 分布の変化を算出し、各時点での偏析係数を見積もった。成長速度が早い場合は (0.20, 0.27 ML/s)、一つの偏析係数で計算結果と実験結果が一致したが、成長速度が遅い場合 (0.10 ML/s) では一つの偏析係数で説明することが不可能であった。この結果は、特に成長速度が遅い場合において、これまでの偏析モデルを修正する必要を示唆している。