抄録
アイソタクティックポリプロピレン(iPP)の昇温過程(50℃~200℃)における SAXS/WAXS 同時測定を行い、iPP のα晶の融解過程について詳細に調べた。その結果、結晶融解過程に関しては、昇温に伴うWAXSピークの消失挙動から、iPPのα晶は、DSCの吸熱反応が検出できないレベルの温度領域(174℃~190℃)においても残存していることを明らかにした。
また、SAXS プロファイルの変化より、昇温に伴うラメラ周期長の増大と、並びに、ドメイン構造の出現が明らかとなり、かつその構造は融点よりやや低い温度領域から 190℃ 付近まで明確に観測されることを示した。