抄録
層状オキシセレナイド La2Fe2Se2O3 および LaCuSeO を交互に積層した新物質 La4Fe2+xCu2–xSe4O5 (x = 0.5、1.0、1.5)の合成に成功した。ヘテロ構造の形成に伴う物性の変化が期待されたが、同物質の磁性は La2Fe2Se2O3 と比べてほぼ変化がなかった。この起源を探るべく粉末X線構造解析を行った結果、x の増大に伴い Cu サイトの欠損が生じ占有率が低下することが明らかとなった。また Fe サイト周囲の結合距離や結合角は x に依らず La2Fe2Se2O3 とほぼ同等であったことから、積層化によっても磁気相互作用がほぼ変化せず同様の磁性を示すと考えられる。