抄録
化粧品の有効性を評価することを目的として、現在様々な試験が行われているが、真皮における「コラーゲンの質」を評価する方法は十分に確立されていない。我々はこれまでに、線維芽細胞の広角・小角X線散乱を測定し、これに含まれるコラーゲンの三重らせん構造、分子間距離、長周期構造に由来する散乱について観察してきた。本研究では、老化させた線維芽細胞について観察することにより、コラーゲンに由来する散乱が細胞老化に伴い変化するかを検討した。その結果、継代培養を繰り返して老化させた線維芽細胞においては、若い細胞と比べてコラーゲンに由来する散乱の強度が低くなったものの、観察される散乱に変化は見られなかった。しかし、最も老化させた線維芽細胞においては、これらのコラーゲンに由来する散乱とは異なる散乱が観察された。一方、5-ブロモデオキシウリジンを処理して細胞老化を誘導した線維芽細胞では、散乱の変化は見られなかった。