SPring-8/SACLA利用研究成果集
Online ISSN : 2187-6886
Section A
温度変化によって生じる鞭毛軸糸の構造変化
八木 俊樹藤田 洋介上村 慎治岩本 裕之
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 9 巻 6 号 p. 375-379

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抄録

 真核生物の鞭毛は9本の微小管が中心にある2本の微小管を取り囲む基本構造をもつ。中心にある微小管を欠失した変異株は運動性を失うことから、中心の微小管が鞭毛運動の発生に重要と考えられている。最近、この非運動性変異株に高い静水圧を負荷すると、鞭毛は屈曲運動を開始して細胞が動き出すという現象が見出された。また、室温から温度を下げていくと、より低圧で運動が生じることもわかった。この結果、低温条件において、運動が生じやすくなる構造変化が変異株鞭毛に生じている可能性が示唆された。そこで本研究では、鞭毛サンプルのX線回折実験を行い、異なる温度において鞭毛にどのような構造変化が生じるか調べた。その結果、鞭毛の直径が低温環境下で小さくなる傾向があることがわかった。

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