本研究では、ボランティアの支援者の視点から支援に困難を感じた外国人支援事例を収集、分類し、日本で暮らす外国人の生活上の課題の実態について把握を試みた。2011~2015年にかけて日本の複数の外国人支援団体から収集した事例は108事例あり、質的内容分析によりカテゴリ化を行った。結果、緊急性の高い内容を含む生活課題として、児童相談所による保護が認められないなどの内容を含む「子どもの養育・教育」、「日本の制度の知識・情報不足」、「犯罪被害」、「触法」、「虐待・家庭内暴力」、「入国管理に対する対応」というカテゴリが挙げられた。緊急性の低いカテゴリとしては、「日本語でのコミュニケーション」、「妊娠・出産の対応」、「生活文化の相違によるトラブル」などのカテゴリが挙がった。今後は、ボランティアの支援団体による外国人支援だけでなく、公的な窓口の設定も検討する必要がある。また、軽犯罪者や不法滞在者への対応についても枠組みを検討することも望まれる。