本研究では、高血圧症をもつ人のセルフマネジメント能力に関する基礎的資料を得るため、服薬治療を行っている40歳以上の地域在住中高年者を対象に、自記式質問紙調査を実施した。調査内容は、対象の基礎情報と、セルフマネジメントに関する設問として、高血圧症患者の自己管理度測定尺度および服薬アドヒアランス尺度を使用した。その結果、自己管理度全体では、年齢、性別、服薬種類の数で差はみられなかった。自己管理度の下位項目では、4項目で差が見られた。服薬アドヒアランスでは、「服薬の納得度および生活との調和度」と「服薬遵守度」の2項目で性別による差が見られ、男性よりも女性のほうが低い点数であった。高血圧症のような身体症状が少ない疾患の場合は、服薬アドヒアランスにおける性差があることが考えられた。慢性疾患管理における考え方と同じく、セルフケアマネジメントの考え方は、重篤な疾患のリスクファクターを低減させるために重要な概念になると考える。