2019 年 10 巻 1 号 p. 10_31-10_35
【目的】パーキンソン病(Parkinson’s disease;以下PD)患者と健常高齢者において,Timed Up and Go Test(以下 TUG)総時間,TUG各相時間とその割合を比較し,PD患者の障害特性がTUGの運動要素にどのように反映されているのかを明らかにすることとした。【方法】対象はコントロール群32例,PD患者群9例とした。TUGは,起立から着座を1相から5相まで相分けした。【結果】総時間の比較では,1相から5相までの全ての項目においてPD群で有意に遅い値を示した(p<0.01)。各割合の比較では,2相(直線歩行)において,PD群が有意に低値を示した(p<0.01)。一方,5相(着座動作)の着座時間の割合は,PD群が有意に高値を示した(p<0.05)。【結論】割合について,5相ではPD群が有意に高値を示しており,複合動作能力(方向転換と着座)の低下により,着座動作時間の割合が増加したと考えた。PD患者は,複合動作能力の低下により,運動の切り替えに影響を与えていることが示唆された。