【目的】歩行可能な慢性期脳卒中片麻痺者を対象に機能訓練事業の利用前後における歩行能力と移動範囲の変化について後方視的に検討した。【方法】対象は2018年4月1日から2021年3月31日までに施設入所支援で機能訓練事業を利用した慢性期脳卒中片麻痺者72名のうち,選択基準を満たした52名を対象にした。機能訓練事業の利用開始時と終了時の計測データを後方視的に調査した。評価項目は10m歩行テスト,Timed Up and GO test(以下,TUG),改訂版実用的歩行能力分類を使用した。【結果】歩行速度とTUG,改訂版実用的歩行能力分類は入園時と退園時で有意な差が認められた。【結論】機能訓練事業の利用前後で歩行能力と移動範囲が有意に改善された。慢性期脳卒中片麻痺者が障害者支援施設の施設入所支援で機能訓練事業を利用することで,歩行能力が向上し,移動範囲が拡大する可能性がある。