2011 年 2 巻 1 号 p. 2_27-2_30
【目的】下肢局所筋疲労後のバランス研究報告は多いが,体幹筋の疲労に関する知見は少ない。そこで今回,腰背部筋の筋疲労が静止立位姿勢時の平衡機能に及ぼす影響について明らかにすることを目的に研究を行った。【対象および方法】対象は下肢腰部に整形外科的な疾患がなく,神経学的な異常のない健常大学生14名(平均20.7歳:20−21歳;男性12名)とした。被験者には事前に本研究の目的と方法を説明し,研究協力の同意を得て行った。疲労前後で重心動揺計上に開眼・閉脚で30秒の静止立位における重心動揺を計測した。疲労プロトコールはSorensenらの方法を用いて体幹の伸展の保持を求め,保持困難になったら30秒の休憩を入れ計6回行った。【結果】 腰背部筋の疲労前後を比較した結果,疲労後において重心動揺値が疲労前よりも増加していた。特に 総軌跡長,単位軌跡長,矩形面積,実効値,実効値面積で疲労後に有意な増大があり,静止立位時の平衡機能の低下がみられた。【考察】腰背部疲労によって体幹筋の安定化機構の低下がみられ,立位姿勢制御に影響を及ぼしたものと考えられる。腰背部の筋に疲労が生じている腰痛患者にとって,立位姿勢制御の崩れも起きていることが考えられた。