2012 年 3 巻 1 号 p. 3_27-3_30
後縦靭帯骨化症(ossification of posterior longitudinal ligament:以下OPLL)の術後,長期経過の中で発症した腰部脊柱管狭窄症(lumber spinal stenosis: 以下LSS)に対し理学療法を行った。開始当初,強い神経原性跛行を呈し歩行困難であった。OPLLによる下肢の痙性があり,股関節屈筋群,脊柱起立筋群の短縮がみられた。X線画像所見ではL4-L5およびL5-S1の椎間孔狭窄を認め,神経症状もこれに一致した。股関節屈筋群,脊柱起立筋群の過剰なフォースカップルにより骨盤が前傾し,下位腰椎の椎間孔狭窄をきたしているものと考え,運動療法を中心に理学療法を実施した。6ヶ月の長期経過の中で股関節の可動域は徐々に改善し,これにともない神経原性跛行も軽減した。X線画像上も腰仙角の減少,椎間孔の拡大がみられた。LSSに対する理学療法は,椎間孔狭窄がおこる機械的要因を把握し適切なアプローチをすることにより,より効果的になると思われた。