理学療法の科学と研究
Online ISSN : 2758-3864
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症例報告
呼吸困難感の強い間質性肺炎症例に対する下肢自動介助運動の効果
廣田 真之介鵜沢 吉宏
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ジャーナル オープンアクセス

2012 年 3 巻 1 号 p. 3_23-3_26

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抄録

【目的】 間質性肺炎,全身性強皮症,皮膚筋炎,肺高血圧症を既往に持ち,体動時の強い呼吸困難感を主訴に当院へ入院した症例に対して,下肢自動介助運動を中心とした運動療法を行い,連続歩行距離の延長,労作時呼吸困難感の軽減が得られたので報告する。
【症例と理学療法の介入】 症例は60歳代,女性。労作時の呼吸困難感の増強があり当院入院。血管拡張薬,ステロイド剤による薬剤加療が開始された。入院翌日より労作時呼吸困難感の軽減,日常生活動作能力向上を目的に理学療法を開始した。介入初期では労作時に低酸素血症,呼吸困難感が出現し2m程度の歩行耐久性のため運動療法の実施が困難であった。これに対して自動介助運動により運動負荷を軽減するアシストペダルエスカルゴ®(明成社製,PBE-100)の使用を中心とした運動療法を行った。その結果,SpOは92%以上を維持し120m程度の連続歩行が可能となり労作時の呼吸困難感のコントロールが終了したため理学療法開始3週目に自宅退院となった。
【結語】 労作時の低酸素血症,呼吸困難感の出現が強度で運動療法の実施が困難である間質性肺炎の重症例に対して,運動療法の負荷を低く設定して実施した。低負荷から運動療法を開始することで安全に継続して実施することができた。低負荷の運動療法は呼吸困難感の強い症例に対して運動耐容能向上を目的としたプログラムの選択の一つとなる可能性が示唆された。

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© © 2012 一般社団法人 千葉県理学療法士会
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