本稿では,地域における位置情報やそれを利用するWebサービスの可能性と,情報の生産・流通・消費のすべての過程を扱う社会情報学に何が求められているかを議論する。地域を基盤とするコミュニティやNPOなど市民が主体的かつ自立的に取り組む地域貢献活動は,地域のさまざまな課題の解決や活性化のために不可欠である。それらの活動の大半は地域に根ざしており,そこで共有されるべき情報は位置情報をともなうものが多い。一方,GPS機能を搭載する機器の増加やソーシャルメディアの成長など,近年,位置情報を扱いやすくなっている。本稿では,まず,地域貢献活動に従事するグループが自身のWebサイトでとのような地図を利用しているかを述べる。つぎに,筆者が研究開発に取り組んでいる,実践的な位置情報ベースのシステムを紹介する。これらのシステムは現在進行形で地域で利活用されている。Webサイトの実態調査や実践的なシステムの開発研究の結果を踏まえ,情報システムの視点から社会情報学に求められていることを示す。