本稿は,2014年中間選挙を事例として,スマートフォンやソーシャルメディアの急速な普及といったメディア環境の変化によってアメリカの選挙キャンペーンの特徴にどのような変化がみられるのか,政党,政治コンサルタント,政党や候補者陣営とは独立した外部団体の3つのアクターに焦点を当てて検討した。その結果,政党はソーシャルメディアを活用して有権者へのリーチ方法を増やしていること,有権者からの資金調達にはソーシャルメディアよりも電子メールが有効であると考えられていること,メディア環境の変化に伴いメディアコンサルタントに、よりクリエイティブ性が求められ,さらにキャンペーンのデジタル化が進むことで多くの政治コンサルタントが必要とされていること,Super PACは消耗戦となる予備選挙を戦う上で重要な資金供給源としての役割を果たしていることがわかった。最後に,本研究において明らかになった点から,政党には候補者陣営に対して強みとなる電子メールリストや有権者情報のデータベースがあるため,デジタル・メディアをさらに活用することで,今後アメリカの選挙キャンペーンにおける政党のプレゼンスが高まることも考えられる。