社会情報学
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研究
ロンドン・オリンピック大会と国民イメージの変化
佐久間 勲日吉 昭彦
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2017 年 6 巻 1 号 p. 19-32

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抄録

本研究の目的は, ロンドン・オリンピック大会の開催に伴い, 日本人・外国人に対する国民イメージが変化するか, さらにそれらの変化にメディアがどの程度影響するかを検討することであった。日本国籍を有する708名を対象にロンドン・オリンピック大会開催前の2012年6月上旬と, 大会開催後の8月中旬にwebを利用したパネル調査を実施した。調査対象者に対して, 6月上旬に日本人を含む9カ国の国民イメージを回答してもらった。続いて8月中旬に, 同じ9カ国の国民イメージ, ロンドン・オリンピック大会開始から8月中旬の調査の回答時点までのイメージ測定の対象国およびそれらの国の選手に関するメディア報道への接触の程度, そしてテレビ, インターネットを含む7種類のメディア利用の程度を回答してもらった。分析の結果, いくつかの国民の一部の次元のイメージは肯定的な方向に変化していた。他方で, 少数の国民の一部の次元のイメージは否定的な方向に変化していた。さらにいくつかの国民の一部の次元のイメージに関しては, それらの国および選手に関するメディア報道に接触するほど肯定的な方向に変化していた。メディア利用に関しては, いくつかの国民の一部の次元のイメージは, テレビを利用するほど肯定的な方向に変化していた。一方, 少数の国民の一部の次元のイメージは, インターネットを利用するほど否定的な方向に変化していた。以上の結果は, オリンピック大会という国際的スポーツイベントは国民イメージの変化をもたらすものであること, さらにメディア報道やメディア利用がそれらの変化の一因になっていることを示唆するものであった。

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