本研究では,設置が広がっている監視カメラについて,その社会的許容度を測るためにアンケート調査を行った。そこで,どのような場面やどのような条件下で監視カメラの設置や利用が社会的に許容されているのか考察する。具体的には,「監視カメラに対する賛否」「犯罪の予防/検証」「事故予防/検証」「自然災害の予防/検証」についての人々の意向を報告する。その結果,監視カメラに対する賛否にはデモグラフィーが影響すること,予防効果に比べて検証効果が高く評価されていることが明らかとなった。
さらに,監視カメラの設置に対して否定的な意志を表明した人々を対象とした調査においては,自治会に比べて警察・企業による監視を望ましく思う一方で,個人による監視を望ましく思わないことが明らかとなった。加えて,住宅周辺に比べて,交通量の多いところ,職場や公共施設,山林および河川における監視を望ましく思うことなどが明らかとなった。この結果は,監視に対して否定的な人々にとっても監視主体および監視対象の公共性が高まれば高まるほど監視を許容すること,監視主体の公共性が高いとしても,自宅などの公共性の低い空間の監視を望まないことが示された。