抄録
ソフトウェアの不具合がもたらす悪影響は大きく,信頼性を高めるための設計手法の一つとしてとして形式手法が用いられている.VDM は形式手法の一種であり,形式仕様記述言語VDM++を持つ.VDMは実際の開発現場においても活用され,成果を挙げている.しかし,自然言語の要求をモデル化するプロセスにおいては,計算機による支援が進んでいない.そのため,人手による作業がほとんどであり,形式仕様の作成者への負担が大きいという問題がある.本論文では,形式手法導入コスト低減を目指した, 自然言語で記述された要求仕様書からVDM++仕様への変換手法の提案を試みる.また,型定義,関数・操作定義に関する支援手法を実装し,評価を行う.評価の結果,人間の感覚に近い用語抽出を目指した,複合名詞の結合手法の有効性を確認することができた.しかし,定義する用語を効率的に探索することを目的とした抽出した語の並べ替え手法は,並べ替えを行わない場合と比較して精度は向上したが,改善の余地が残る結果となった.以上の結果をもとにVDM++で定義される用語の特徴について考察を行い,得られた知見を共有する.