2012 年 1 巻 2 号 p. 139-144
多数の検体中の総ポリフェノール量を同時に定量するために、スキャナーを用いるフォーリンチオカルト法-比色分析法について、コストパフォーマンスの立場から検討を行った。フォーリンチオカルト法では、ポリフェノールを含む試料は青色に着色されるので、スキャナーで取り込んだ画像のRGB値からR値を求めた。このR値から計算した吸光度は、クロロゲン酸、没食子酸などの代表的なポリフェノールの濃度に比例することがわかった。本法のコストパフォーマンスを議論するために、通常の紫外可視吸光高度計、デジタルカメラ、マイクロプレートを用いる各方法でも同様の測定を行った。結果として、いずれの方法も検量線の精度は同じであったが、多検体同時分析を行う場合、短い測定時間と装置の価格などのコストパフォーマンスの立場からスキャナー法が優れていると判断された。今後、本法が機能性食品の製造現場で使用されることが期待される。