2021 年 10 巻 2 号 p. 151-160
水産海洋分野の産学連携・地域連携活動を事例とし、産学連携・地域連携活動に取り組む大学教員のインセンティブ構造を明らかにした。解析では、博士、修士で意識の差が見られた。海洋系学部の特徴については、高知大学では、モデルの説明力は高くないものの満足度と重要度が近似の変数となっており、非常に論理的な思考をもつ研究者にストレートに回答頂けたことが推察出来た。琉球大学も、研究を積極的に進めやすい要素とインセンティブ付与に対する満足度との間に明確な関係性が見られた。ただし、重要度と満足度が正比例していない状況が現れてきたことから(主効果プロット)、「現状に満足していない層への支援を手厚くすること」が学部としての総合力を高めることにもつながり得ることが強く示唆された。全国の多くの海洋系学部が後者の傾向になり得るのではないだろうか。比較として、その他の学部の特徴は以下の通りである。ビジネス系学部の特徴:連携に積極的で、人事評価を筆頭に全てがインセンティブとなりやすい。 実学・プロフェッショナル思考系学部の特徴:職人的・合理的な傾向が強い。 工学系・教育系学部の特徴:個人の感情がインセンティブとなりやすい傾向が見える。学位や学部毎に条件を変えた詳細解析では、学位あるいは職位によりインセンティブ異なるより詳細な結果を得ることが出来た。