科学・技術研究
Online ISSN : 2187-1590
Print ISSN : 2186-4942
ISSN-L : 2187-1590
原著
水産海洋系大学研究者の産学連携とインセンティブ構造に関する研究①
大学研究者を連携活動に向かわせるインセンティブと水産海洋を主とする特徴的学部におけるその構造の解析
鈴木 千賀吉用 武史受田 浩之竹村 明洋西川 一弘藤川 清史松本 拓郎中川 尚志行武 晋一石田 実
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2021 年 10 巻 2 号 p. 151-160

詳細
抄録

水産海洋分野の産学連携・地域連携活動を事例とし、産学連携・地域連携活動に取り組む大学教員のインセンティブ構造を明らかにした。解析では、博士、修士で意識の差が見られた。海洋系学部の特徴については、高知大学では、モデルの説明力は高くないものの満足度と重要度が近似の変数となっており、非常に論理的な思考をもつ研究者にストレートに回答頂けたことが推察出来た。琉球大学も、研究を積極的に進めやすい要素とインセンティブ付与に対する満足度との間に明確な関係性が見られた。ただし、重要度と満足度が正比例していない状況が現れてきたことから(主効果プロット)、「現状に満足していない層への支援を手厚くすること」が学部としての総合力を高めることにもつながり得ることが強く示唆された。全国の多くの海洋系学部が後者の傾向になり得るのではないだろうか。比較として、その他の学部の特徴は以下の通りである。ビジネス系学部の特徴:連携に積極的で、人事評価を筆頭に全てがインセンティブとなりやすい。 実学・プロフェッショナル思考系学部の特徴:職人的・合理的な傾向が強い。 工学系・教育系学部の特徴:個人の感情がインセンティブとなりやすい傾向が見える。学位や学部毎に条件を変えた詳細解析では、学位あるいは職位によりインセンティブ異なるより詳細な結果を得ることが出来た。

著者関連情報
© 2021 科学・技術研究会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top