科学・技術研究
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原著
水産海洋系大学研究者の産学連携とインセンティブ構造に関する研究③
産学連携を対象とした研究支援者の活用に関する研究
鈴木 千賀吉用 武史受田 浩之竹村 明洋西川 一弘藤川 清史松本 拓郎中川 尚志行武 晋一石田 実
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2021 年 10 巻 2 号 p. 171-177

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抄録

研究支援者の活用を念頭にストークスの4象限及び重回帰を用いた解析をおこなった。本研究を通して、研究集中時間の不足や、研究室体制の脆弱化、支援人材のサポート不足など、リソース不足の問題が改めて浮き彫りになってきた。大学や分野関係なく「研究者は疲弊している」の一言に尽きる。政策評価においては、我が国の研究環境が「無理強いをしなければ勝てない世界」であることを認識し、この改善を目指すことが必要である。産学連携・地域連携活動の推進は、大学ないし研究活動へのリソースの流入を増やすことで、この問題の改善を図る政策ともリンクしている。我々は、この観点から以下の結論を導き出している。まず、研究者にも人間的な生活は必要である。研究が楽しい、または研究者としてのキャリアアップのためなど、集中的に研究に打ち込みたいという時期は少なからぬ研究者にあることであろうが、それを評価の側面を含めてマネジメント層が利用すること、また妊娠や出産、育児(男性育児)などワークライフバランスが重視される時期を含む若手にハードワークを無理強いすることは全くあるべきものではない。次に、これに対処するためには、研究者枠の増加は勿論であるが、大学執行部としても、組織としての時間の融通や支援人材の配分を工夫すること等を通じて、研究者を後押しする体制整備も求められる。その意味でのURAのより良い活用が求められるものである。

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