抄録
希土類元素の一つであるスカンジウムを培地組成の異なるNG培地及びLG培地に添加した時のBacillus subtilisの培養上清に分泌されるプロテアーゼ活性への影響を調べた。NG培地を使用した時には、B. subtilisにより分泌されるプロテアーゼ活性はスカンジウムを添加しない場合と比較してスカンジウムの添加により1.42倍に向上した。一方、LG培地を使用した時には、スカンジウムの添加の効果は認められなかった。また、LG培地にスカンジウムを添加した場合のアミラーゼ活性は、スカンジウムを添加しない場合と比較して72時間後に約1.5倍に向上した。しかし、活性向上率は既に報告しているNG培地におけるアミラーゼの3.3倍の向上率と比較して低い値であり、スカンジウムの酵素生産促進は培地成分に著しく影響を受けることが示唆された。