科学・技術研究
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原著
アカモク加工品が米飯摂取時の血糖動態に及ぼす影響
齋藤 義之森田 捺美平田 修弥小柳 藍衣徳田 和央内田 耕一人見 英里
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2024 年 13 巻 1 号 p. 39-45

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抄録
アカモク(Sargassum horneri)は北海道東部を除く日本沿岸に広く分布する褐藻で、一部の地域を除いて食用とされていなかったが、近年全国的に食されるようになってきた。本種は茹で加工をすることで鮮やかな緑色に変化するとともに特有の粘りのある食感となる。本研究では、市販の茹で加工済みアカモクやこれに電子レンジ加熱処理を施し粘性を低減させた加熱アカモクを、米飯とともに朝食もしくは昼食として摂取することが食後の血糖動態に及ぼす影響について調べた。実験では米飯、吸い物およびふりかけからなる基本食、基本食に市販の加工済みアカモクを加えたアカモク食、基本食に加熱アカモクを加えた加熱アカモク食の3種の試験食を用い、これらの試験食を摂取した際の血糖動態について、健康な成人男女を対象に連続血糖値測定器「FreeStyle リブレ®」を用いて測定し比較した。その結果、アカモクもしくは加熱アカモクの摂取は食後最大血糖値、血糖上昇値、血糖上昇時間、血糖下降時間および血糖値曲線下面積を低下または遅延させる効果は認められないものの、血糖上昇速度を抑制する効果を持つことが示唆された。したがって、アカモクや加熱アカモクの摂取は食後の血糖値の急激な上昇を抑制する働きがあるものの、体内に吸収される糖質量は抑制されず、栄養素の吸収を阻害しないと考えられた。
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