科学・技術研究
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短報
スメクチックB相を形成する側鎖型液晶ポリエチレンイミン
甲斐 悠季乃那谷 雅則氏家 誠司
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2024 年 13 巻 2 号 p. 167-170

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抄録
末端にヒドロキシ基を有する液晶性原子団(メソゲン基)をもつエポキシ誘導体を分岐状ポリエチレンイミン(第1級、第2級、第3級アミノ基をもつ)と反応させることによって側鎖型高分子液晶を合成した。側鎖型高分子液晶はスメクチックA相(層構造、層内短距離秩序)に加えて層内長距離秩序をもつスメクチックB相を昇降温過程で形成した。DSC測定では、ガラス転移、スメクチックB-A相転移、スメクチックA-等方相転移が観測された。温度可変X線回折測定では、スメクチックA相において小角域の鋭い反射(層周期)と広角域のブロードな反射(層内の短距離秩序)が観測された。スメクチックB相ではスメクチックA相と同様にX線小角域の鋭い反射に加え、X線広角域にも層内長距離秩序を示す鋭い反射が観測された。X線反射から求められる層間隔(d)とメソゲン側鎖長(L)の関係から、側鎖型高分子液晶は二層構造を形成し、嵩高い分岐状ポリエチレンイミン骨格部分の凝集層とメソゲン側鎖基の配列層が交互に積層したパッキングが形成されていると考えられる。このスメクチックB相の配向構造はガラス転移温度以下で保持された。側鎖に導入したエポキシ誘導体がネマチック相のみを形成し、分岐状ポリエチレンイミン骨格が規則的な構造をもたないのにもかかわらず、側鎖型高分子液晶では配向秩序性が高いスメクチックB相が形成される。これは、分岐状ポリエチレンイミン骨格とメソゲン側鎖基がそれぞれ局在化して凝集し、ミクロ相分離構造が構築されるのに加え、メソゲン側鎖基末端のヒドロキシ基およびメソゲン側鎖導入時に生成するヒドロキシ基がそれぞれ形成する水素結合によって、メソゲン側鎖基の運動性が適度に抑制されるためと考えられる。
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