抄録
中小企業におけるキャッシュ・フロー経営の重要性や必要性の提言あるいは理論研究は、2000年以降散見されるようになった。本論文の目的は、業歴50年を超える山形県内の中堅および中小製造企業6社に焦点をあて、財務的側面から経営概要、特に経営戦略の詳細を明らかにし、持続可能な経営スタイルの共通点と各社の独自性を見出し、考察することにある。研究の方法は、各企業への統一様式の質問内容による訪問インタビューとした。研究の結果と考察を下記4項目にまとめた。すなわち、①選定企業6社の概要と有利子負債比率と自己資本比率との関係をグラフ化したポジショニングマップによる分類、②選定企業6社の経営戦略等の共通点と独自性の分析、③「堅実経営」の論文との照合の考察、④キャッシュ・フロー経営と資金繰り戦略の分析、である。その結果、以下の点が明らかとなった。自己資本比率と有利子負債比率から、6社のうち、5社は、一般的に目安とされる数値を示した。一方、残りの1社は、持続的経営が疑問視される数値を示した。しかし、同社は、キャッシュ・フロー計算書等の情報を金融機関と共有し、迅速に資金調達が可能な仕組みを構築していることが明らかとなった。