抄録
本研究は、インターネットショッピングにおける購買意思決定において、消費者自身の知識や経験が、情報選別力や意思決定の効率、さらにはリスク回避に与える影響を分析し、心理的要因を含めた消費者行動の理解を深めることを目的としている。具体的には、高価格帯と低価格帯の化粧品を対象とし、テキストマイニング(感情スコアと評価スコアの相関分析)とアンケート調査の2手法を用いて実証分析を行った。感情スコアと評価スコアの間にはいずれの分析手法においても弱い相関しか見られず、特に高価格帯商品では感情よりも機能性・費用対効果・期待値との一致といった理性的基準が重視される傾向が確認された。アンケート調査の分析は、スピアマンの順位相関分析と共分散構造分析を用いた。その結果、消費者の購買意思決定においては、感情よりも経験や知識に基づく理性的判断が優位であることが明らかとなった。高額商品では口コミへの依存が高く、画像付き・専門的なレビューなど「信頼性の高い情報」が心理的な安全装置として機能するが、経験豊富な消費者は情報を取捨選択し、効率的に判断していることが明らかとなった。一方、経験の浅い消費者は情報過多により選択疲れを起こしやすく、判断基準の形成が購買効率と満足度向上に重要であることが明らかとなった。