科学・技術研究
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酵素反応を利用したアルカリ処理コラーゲン/甜菜由来ペクチン複合ゲルの作製
福本 晃平吉冨 滉生武井 孝行大角 義浩吉田 昌弘
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2015 年 4 巻 2 号 p. 173-176

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抄録
一般的に広く使用されるコラーゲンは酸性水溶液中で抽出されたものであり、その等電点は7-9である。一方、アルカリ水溶液中で抽出されるアルカリ処理コラーゲン(AC)の等電点は5.0付近であり、酸処理コラーゲンと同様に細胞や生体組織との親和性が高い。その特異的な等電点を利用し、われわれはこれまでにACゲルが血管新生促進因子である塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)の徐放担体として有用であることを見出している。しかし、そのゲルの調製に、毒性の高い化学架橋剤であるグルタルアルデヒドを使用していた。本研究ではこの問題を解決するために、西洋わさび由来ペルオキシダーゼ(HRP)による甜菜由来ペクチン(SBP)の酸化的重合反応に注目した。その酵素反応によりAC/SBP複合ゲルを調製できた。また、HRPおよび過酸化水素濃度を調整することで1分以内に迅速にAC/SBP複合ゲルを調製できた。さらに、中性の水環境下においてbFGFのモデルタンパク質であるシトクロムCがそのゲルに静電的に吸着できた。以上より、AC/SBP複合ゲルは、bFGFの徐放性を有したインジェクタブルゲルとして有望であることが示唆された。
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