抄録
緑茶特有のアミノ酸であるテアニン( グルタミルエチルアミド)には脳内神経伝達物質を変動させ、記憶・学習能の改善や、ヒト試験ではアルファ波の放出作用を有することなどを明らかにしてきた。テアニンをはじめとした茶葉に含まれる有効成分を効率よく抽出することが、期待される。茶葉を亜臨界水抽出することにより、テアニンは環状テアニンとして抽出される。そこで、テアニンと環状テアニンとの生理機能を比較するために神経伝達物質の面から調べた。環状テアニンは腸管から吸収され,脳内神経伝達物質に影響を及ぼす可能性が示唆されたので、脳線条体切片からのドーパミン放出を調べた結果、テアニンよりもその作用の強いことが示唆された。テアニンよりも呈味性の強いことから、今後の食品開発への利用が期待される。