科学・技術研究
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4, 5, 6族金属酸化物添加ガラス電極のpH応答性及び耐久性評価
西尾 友志古川 真衣立石 一希勝又 英之鈴木 透金子 聡
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2018 年 7 巻 1 号 p. 35-38

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抄録
4族、5族、6族元素の金属酸化物を添加したpH応答ガラスを作製し、これらをガラス電極へ応用した。これらの電極において、感度、不斉電位などの基本性能のほか、イオン交換水への浸漬後と3.3 moL/lのKCl溶液浸漬後の水道水での応答性を調べた。その結果、添加した元素の種類によって、KCl溶液での応答性は、イオン交換水に比べ応答遅延が見られた。今回作製したガラス試料のpH電極では、標準溶液の感度測定が、理論感度に対して99 %以上、不斉電位も 10.6 mV以内であった。ZrとHf添加pH電極における水道水での応答T95は、約40秒であり、それらを14日間KCl溶液中に浸漬させた後では、T95(約60秒)はほとんど変化しなかった。従来のpH応答ガラス電極より、Ti、Zr、Hf、Nb、Taの金属酸化物添加pH応答ガラスでは、KCl溶液などの塩溶液に対する耐水性が向上したと思われる。また、水酸化ナトリウム水溶液の測定によるアルカリ誤差評価では、ZrやHfなどの4族元素の添加は、アルカリ誤差を生じやすいのに対し、5族と6族の元素(V、Nb、Ta)を添加しても、アルカリ誤差はほとんど生じなかった。TiO2とTa2O5、TiO2とNb2O5を添加したpH応答ガラスは、JIS規格を満足しており、優れた感度と耐水性を有しているため、開発されたpH応答ガラスは、実用化できると思われる。
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