現代社会学理論研究
Online ISSN : 2434-9097
Print ISSN : 1881-7467
食の安全・安心をめぐるリスクと信頼
「共有モデル」 と「架橋モデル」
畑山 要介
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ジャーナル オープンアクセス

2016 年 10 巻 p. 89-101

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抄録
食品流通の不透明性の克服をめぐっては、提携型取引と認証型取引の間で論争が展開されている。提携型取引は産消提携による共同体構築を通じた信頼の形成を、認証型取引は第三者認証によるトレーサビリティの確保を通じた信頼の形成を、それぞれ不透明性克服の条件とする。本稿では「リスク」の概念に対する考察から出発することで、買い手と売り手のパースペクティブの「差異」という観点から不透明性をめぐる問題を構成し、そこから引き出される「共有モデル」と「架橋モデル」という理論的図式の比較検討を通じて、提携型取引に対する認証型取引の可能性を検討する。
検討の結果明らかになるのは、(1)提携型取引は、買い手と売り手のパースペクティブの一致のなかに「我々関係」としての信頼を見出す「共有モデル」で理解することができるが、このモデルは信頼を「確実性への問い」へ引き戻すものとならざるを得ないということ、(2)他方、認証型取引は買い手と売り手のパースペクティブの差異という不確実な状況における諒解形成過程のなかに信頼を見出す「架橋モデル」で理解することができるということである。ところが、(3)後者においてはパースペクティブを架橋する「認証」それ自体の信頼が問題とされることで、システム信頼の無限後退という問題が生じることも明らかとなる。論文後半ではこの問題を「確実性への問い」へと引き戻すのではなく、「信頼/不信をめぐるコミュニケーションの生成と継続への問い」として展開することで架橋モデルの射程を明らかにし、その観点から認証型取引の可能性を開示する。
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© 2016 日本社会学理論学会
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