現代社会学理論研究
Online ISSN : 2434-9097
Print ISSN : 1881-7467
G. H. ミードの「マインド」概念再考
社会生成論への視覚
徳久 美生子
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ジャーナル オープンアクセス

2008 年 2 巻 p. 49-60

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抄録
本稿は、G.H. ミードの「マインド」論を、社会生成論というひとつの社会学理論として展開するための序章となる論考である。ところで、ミードの「マインド」論を社会生成論として展開する道筋には、ふたつの障害が横たわっている。第1に「マインド」論はミクロな理論であるという誤解と、第2に、「マインド」という概念それ自体の曖昧さである。
本稿では、時・空間論と結びつけることで、「マインド」(1)論をより広い社会理論へと展開しようと図ったミードの試みを検討し、「マインド」論が単なるミクロな理論ではないこと、そこには〈全体から個人へ、そして個人から全体への円環と変化〉という社会生成を考える上での論理的基盤があることを明らかにした。また「マインド」概念を、行為を方向づける作用として定義した上で、「マインド」を〈プレマインド〉〈基礎マインド〉〈言語マインド〉〈社会マインド〉という4つの位層へ分類することで「マインド」論の論理的枠組みを提示した。さらに、mindednessという言葉で第一次世界大戦後の国際社会のあり方を論じたミードの取り組みから、社会を語る理論として見た「マインド」論に、失敗という危険を加味して社会の統ーを論じる社会学理論の可能性と課題があることを明らかにした。
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© 2008 日本社会学理論学会
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