現代社会学理論研究
Online ISSN : 2434-9097
Print ISSN : 1881-7467
2 巻
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  • 山崎 敬一, 川島 理恵
    2008 年 2 巻 p. 1-2
    発行日: 2008年
    公開日: 2020/03/09
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  • ある「警察からの電話」の分析
    樫村 志郎
    2008 年 2 巻 p. 3-13
    発行日: 2008年
    公開日: 2020/03/09
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  • yes/no質問に対するyes/no返答と繰り返し返答に込められる進行性と主体性、抵抗
    ヘリテッジ ジョン, 川島 理恵
    2008 年 2 巻 p. 14-25
    発行日: 2008年
    公開日: 2020/03/09
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  • クレイマン スティーブ, ヘリテッジ ジョン, 川島 理恵
    2008 年 2 巻 p. 26-36
    発行日: 2008年
    公開日: 2020/03/09
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  • 社会システムの時間論序説
    多田 光宏
    2008 年 2 巻 p. 37-48
    発行日: 2008年
    公開日: 2020/03/09
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    本稿の目的は、ニクラス・ルーマンの自己準拠的な社会システムの理論における、秩序構成の問題の検討にある。彼の社会システム理論では、タルコット・パーソンズのような社会秩序の規範的把握は斥けられる一方で、「何でもあり」もありえないとされる。社会的行為はランダムではなくあくまで一定の秩序とともに生成する。規範的ではないが任意でもないこの秩序を可能にするのは、社会システムの時間である。社会システムの秩序の様態とは「時間秩序」である。現象学的社会学のアルフレート・シュッツが主体の内的時間について考えたように、社会システムでも、過去と未来を含めたそのシステム自身の時間性の全体が、可能な選択肢をあらかじめ縮減している。社会的行為はそこからの選択として、他の諸行為との関係において単位と意味が規定され、ひるがえって他の選択の基礎となる。これが社会システムという創発秩序であり、その自己準拠である。時間こそがシステムの環境からの分化を可能にし、システム内的な諸可能性を秩序づけているのである。
  • 社会生成論への視覚
    徳久 美生子
    2008 年 2 巻 p. 49-60
    発行日: 2008年
    公開日: 2020/03/09
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    本稿は、G.H. ミードの「マインド」論を、社会生成論というひとつの社会学理論として展開するための序章となる論考である。ところで、ミードの「マインド」論を社会生成論として展開する道筋には、ふたつの障害が横たわっている。第1に「マインド」論はミクロな理論であるという誤解と、第2に、「マインド」という概念それ自体の曖昧さである。
    本稿では、時・空間論と結びつけることで、「マインド」(1)論をより広い社会理論へと展開しようと図ったミードの試みを検討し、「マインド」論が単なるミクロな理論ではないこと、そこには〈全体から個人へ、そして個人から全体への円環と変化〉という社会生成を考える上での論理的基盤があることを明らかにした。また「マインド」概念を、行為を方向づける作用として定義した上で、「マインド」を〈プレマインド〉〈基礎マインド〉〈言語マインド〉〈社会マインド〉という4つの位層へ分類することで「マインド」論の論理的枠組みを提示した。さらに、mindednessという言葉で第一次世界大戦後の国際社会のあり方を論じたミードの取り組みから、社会を語る理論として見た「マインド」論に、失敗という危険を加味して社会の統ーを論じる社会学理論の可能性と課題があることを明らかにした。
  • バーンスティン理論におけるアルチュセール的視点導入の意義
    高橋 均
    2008 年 2 巻 p. 61-73
    発行日: 2008年
    公開日: 2020/03/09
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    アルチュセールのイデオロギー論は、再生産論・主体化論として新たな理論的地平を切り拓いた。バーンスティンの象徴的統制論には、このイデオロギー論の影響が随所に現れている。彼は、アルチュセール的視点を自家薬龍中の物としそれらを自らの理論へと暗黙に取り込み、再配置している。バーンスティンがイデオロギー論に魅了され、それと相同性のある議論を展開したのは、現実的諸条件との想像的(査曲的)関係を創り出し、それを本当のものとして諸個人に誤認させ、主体を形成するというアルチュセールの主体化をめぐる議論にアクチュアリティをみいだしたからである。バーンスティンは、イデオロギー論に依拠しつつ、それを「非一決定」のロジックを織り込んだ象徴的統制論として展開させ、①象徴的統制の諸機関/担い手の相対的自律性を示すことにより、「道具主義的国家観」の修正を可能にする視点を提示、②イデオロギー論における「誤認」を諸個人が受け入れるメカニズムをめぐる説明の欠如を補完、③相互作用(呼びかけ一応答)における「類別」・「枠づけ」の動的関係という視点を導入し、主体化過程における矛盾・裂け目・ディレンマを理論に組み込むことで、イデオロギー論における主体化のペシミズムを補完した。アルチュセールの理論的遺産を、自らの理論の発展の「不可欠な基盤」とし、さらにそれを精綴化・発展させたバーンスティンの理論的営為の意義は看過できない。
  • 承認と物象化
    水上 英徳
    2008 年 2 巻 p. 74-86
    発行日: 2008年
    公開日: 2020/03/09
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    本稿の目的は、アクセル・ホネットの物象化論の内実と意義を検討することである。
    ホネットは、自身の承認論に基づきジェルジ・ルカーチの物象化概念を再定式化している。ホネットによれば、承認は個体発生的にも原理的にも客観的認識に優先し、社会的相互作用の成立の条件をなしている。物象化は、この本来的な人間実践としての承認の忘却、つまり対象を客観的に認識するさいに承認への注意が低下することを意味する。ホネットは、この考え方に基づき、物象化の三つの形態(他者の物象化、自然の物象化、自己物象化)をそれぞれ捉え直すとともに、それらの社会的な背景要因を考察している。
    ホネットの物象化論は、承認概念の深化と拡張に基づいており、物象化に対する批判の根拠を社会内在的に取り出していること、本来的実践としての承認と客観的認識との二者択一図式を越えていることにその特質がある。その一方で、物象化の歴史的固有性や社会構造との関連が十分に考察されていないことが、課題として指摘できる。
  • 公助の弱体化と自助の前景化を背景に
    本柳 亨
    2008 年 2 巻 p. 87-99
    発行日: 2008年
    公開日: 2020/03/09
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    福祉国家の弱体化とリスク社会化が同時に進む社会では、国家によるリスク管理に依拠した「公助によるリスク管理」と、個人によるリスク管理に依拠した「自助によるリスク管理」がそれぞれ限界を迎えている。リスク管理の機能不全により、第一に、リスクが不平等に再分配されるという問題が、第二に、人々の関心が内部志向的になるという問題が、第三に、リスクに対する不安が増大するという問題が生じている。
    リスク社会に発生している「不安を紐帯とした連帯」は、共助によるリスク管理の過程で形成されたネットワークである。不安を紐帯とした連帯は、互酬に基づいている点でリスクの不平等を是正する力を秘めている。また、この連帯は他者とのコミュニケーションに開かれた「橋渡し型」の側面を持つため、異質な他者に対する関心を抱く契機ともなる。そして、橋渡し型のコミュニケーションにより、「一般化された他者」が拡大し、「ソーシャル・キャピタル」が醸成されるならば、不安を紐帯とした連帯は、不安の克服を促す作用があるといえよう。公助の弱体化と自助の前景化が進む社会では、共助を中心とした公助、自助、共助の相互補完的なリスク管理が求められている。
  • R. C. フォックスとバイオエシックス
    皆吉 淳平
    2008 年 2 巻 p. 100-112
    発行日: 2008年
    公開日: 2020/03/09
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    R. C. フォックスによる「生命倫理の社会学」という構想の可能性を検討することが本稿の目的である。社会学は経験科学として、価値判断を行わず経験的記述を目指すという自己規定を有している。けれども、生命倫理やバイオエシックスと呼ばれる問題群は価値判断を抱え込んでいる。経験的記述という自己規定と価値判断を抱え込んだ対象との間で、フォックスによる「生命倫理の社会学」は、バイオエシックスを社会文化的現象として捉える。その上で、3つのアプローチが示されている。歴史記述、エートスの記述、そして二重の相対化である。フォックスが目指した「生命倫理の社会学」が有する大きな可能性は、二重の相対化という方法にある。それはバイオエシックスと社会、その両者を相対化し検討する。バイオエシックスだけではなく、社会の分析であるからこそ、「生命倫理の社会学」は社会学として大きな可能性を有しているのである。
  • ガイドライン・特例法とトランスジェンダリズムの分析から
    高橋 慎一
    2008 年 2 巻 p. 113-127
    発行日: 2008年
    公開日: 2020/03/09
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    1990年代以降、日本の性同一性障害医療とトランスジェンダリズムは、当事者の身体改変のニーズの原因について語ってきた。本稿が論じたのは、以下の2点である。(1)性同一性障害医療とトランスジェンダリズムは、当事者のニーズを曖昧に把握するせいで、自由な医療の選択が不安定になっているということである。(2)このニーズを明確にすることで分かるのだが、トランスジェンダリズムは、当事者の社会的強制状況の批判と自由な医療の選択を両立させる論理をもっている。
    (1)まず、性同一性障害医療は、生物学的基盤をニーズの原因としたが、当事者の社会的不利益を原因から除外しきれなかったのだと検討した。また、トランスジェンダリズムは、身体改変のニーズの原因を社会的不利益に置いていた。本稿は、この両者とも、身体改変のニーズが社会的強制状況の作用を受けていると示唆し、当事者の自由な医療選択を不安定にしてしまうのだと述べた。
    (2)ところが、トランスジェンダリズムには、社会的強制状況と医療を両立させる語りがある。本稿の視点では、当事者のニーズの原因は、生物学的基盤と社会的不利益の両方であり、論理的には、社会的不利益が取り除かれた後にしか、身体改変の自由な選択の存在は、確証もされず否定もされない。本稿は、このニーズの位置づけを踏まえて、トランスジェンダリズムを再び読解した。そして、それが社会的強制状況の批判と医療の主体的な選択を両立させる論理を示唆していると結論した。
  • 中華民族の多元性という本質主義の批判的考察
    小嶋 祐輔
    2008 年 2 巻 p. 128-140
    発行日: 2008年
    公開日: 2020/03/09
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    調和のとれた杜会を意味する「和諧社会」の構築は、2004年に中国共産党の正式な執政目標として定められた。本論は、中国の今日的各種矛盾と問題を解消するプロセスとして見なされる「和諧社会」構築の理論から、民族間関係の調和に関する問題を取り上げる。「和諧社会」論の思想的系譜については、中国の伝統的和諧観、協同社会の実現というマルクス主義的和諧観、「人民内部の矛盾」の解消という中国の特色ある社会主義に根ざした和諧観が主張されている。しかし、一方で政府や学術界による「和諧」の条件の規範化によって、「和諧社会」における主体はイデオロギーへの従属を求められる。民族間関係の調和においては、「和諧社会」構築にとっての歴史的起源であり現実的根拠でもある「中華民族の多元性」に基づく調和が主張されている。民族間関係調和は、多文化主義の実践形式の問題として捉えられ、一方で「民族」の「文化化」「脱政治化」、もう一方で「制度化」「政治化」が論じられている。しかし、いずれの場合にも「和諧社会」を構成する「民族」主体が本質化されるため、所与の中華民族-少数民族というヒエラルヒーが維持、強化されてしまう。本論では、このような本質主義が、「和諧」の可能性を限定的なものにしてしまうことを批判的に考察したい。
  • 美少女ゲームという「不完全な場」を例として
    歐陽 宇亮
    2008 年 2 巻 p. 141-155
    発行日: 2008年
    公開日: 2020/03/09
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    この研究は、「場」という概念装置を導入しつつ、現場でのフィールドワークを主要な方法とした、日本の「美少女ゲーム」のオーディエンスのアイデンティティと相互作用を分析し、「場」という概念装置の再検討をおこなう文化消費研究である。差異化・卓越化を図る文化消費の圏域として、ピエール・ブルデューによって提起された「場」は、日本では南田勝也によって応用され、関与対象の「文化的正統性」をめぐる象徴闘争によって参与者の卓越化が図られると論じられた。本稿は日本の美少女ゲームの文化消費をめぐる議論を通じて、メディアとオーディエンスという二つの文化消費研究の概念を用いた場の論理の精微化を例示する。日本の「美少女ゲーム場」において、メディアとオーディエンスが断絶し、文化的正統性をめぐる象徴闘争は卓越化が図りえない状況において展開する。このような対外的にのみ同一化する場を、「不完全な場」と表現することができる。それは外部のヘゲモニーによって場の力学が部分的に撹乱された状態であり、その背景には社会空間における社会的権力関係がある。
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