現代社会学理論研究
Online ISSN : 2434-9097
Print ISSN : 1881-7467
危機の中の社会学理論
赤堀 三郎
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2012 年 6 巻 p. 3-12

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抄録
本論文で行うことは、社会の危機と社会学理論との関係についての問題提起である。2011 年の日本では、震災・原発事故という特筆すべき出来事があった。この事態に、「日本の」社会学理論はどう反応するべきか。この問いに答えるにあたって、本論文では、ニクラス・ルーマンの社会学的システム理論における自己記述概念を援用する。自己記述とは、社会に関する記述はすべて社会による構築物だという考えを表すための言葉である。したがって危機もまた、社会の自己記述の一形態である。これを導きの糸として、「日本の」「社会学理論」を反省してみると、次のことが言える。まず、社会学理論は、社会の中で社会の自己記述を反省する部門として捉えうる。社会学は、社会が危機に瀕しているという認識によって生まれ、また、推進されてきた。危機に際して何も語り得ない社会学理論は、自分自体も危機に瀕することになる。「危機の中の社会学理論」という本論文の題名は、このような二重の意味を含んだものである。次に、社会学理論の欠如は社会の危機へと再帰的に跳ね返っていく。社会学理論ができること、またなすべきことは、政策提言や政治的意見表明などではなく、社会の自己記述を反省し、社会学理論それ自体を展開させることだけである。加えて、「日本の」社会学理論は、これまでのように国内市場のために輸入のみに徹するのではなく、震災や原発事故のような日本で起こった出来事をグローバルな社会学理論にも反映させることへと努力を傾ける必要がある。
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© 2012 日本社会学理論学会
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