現代社会学理論研究
Online ISSN : 2434-9097
Print ISSN : 1881-7467
音楽のコミュニケーションにおける疑似同時性に関する考察
西洋音楽の記譜法とシュッツのアルヴァックス批判をめぐって
寺前 典子
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ジャーナル オープンアクセス

2013 年 7 巻 p. 109-121

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抄録
本稿は、西洋音楽の記譜法の合理化の過程を社会における時間意識の変化と関連づけて検討し、記譜法のどのような技法が疑似同時的な音楽のコミュニケーションを可能にしているのかを考察する。
西洋音楽の記譜法の合理化の過程は、社会における時間意識が具象から抽象へと移行する過程と並行関係にある。西洋音楽の記譜法の合理化は、中世の修道院において聖書の詞の意味とそのリズムを重視しつつその抑揚を記すことに始まり、最終的に〈絶対的時間をもつ音符〉と拍子という技法の考案、すなわち普遍時間に到達する。これは記譜法の扱う時間が、具体的な質的時間から抽象的な量的時間へと移行する過程である。記譜法をめぐりシュッツはアルヴァックスを批判するが、これは質的時間を扱ったシュッツと量的時間を扱ったアルヴァックスという立場の違いから生じた。疑似同時的な音楽のコミュニケーションは、普遍時間をもつ記譜法の技法によって成立する。
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© 2013 日本社会学理論学会
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