抄録
宇宙基地や宇宙往還機などが滞在するLEO では10km/s の速度でデブリが周回し,その数は記録されていないmm オーダーのものまで入れると4,000 万個ともいわれ,更に増え続けていると考えられている.これらの環境のもと宇宙機の構造側で最も考慮すべきとされるデブリは重量1g,速度10km/s とされるが,地上での試験を行うために用いる事ができる2 段式軽ガスガンでは速度は7km/s 程度までがほぼ上限である.一方,10km/s 以上の超高速試験では成型爆薬を用いた方法がある.そこで,著者らは10km/s の速度を安定的に出せる装置を開発したが,さらにプロジェクタイルを速度約7km/s で固体の状態のままで発射できるガスガンと,溶融化した状態となる成型爆薬方式との,それぞれの衝突現象の把握と,両者の差異の有無を確認する事を目的として,7km/s で1g 程度の模擬デブリの発射が可能な成型爆薬方式による射出システムを開発した.この装置の開発によって,ガスガンを用いた実験と成型爆薬方式による実験との関係を得る事が可能となり,5km/sレベルから10km/s レベルまで,固体デブリが衝突した時の構造への影響を正確に把握する事を目的としている.