2023 年 50 巻 4 号 p. 187-193
30歳代の女性。腹痛を主訴に当院を受診した。CT検査で盲腸軸捻転症と診断し,当院消化器・肝臓内科で内視鏡的整復術が施行された。過去にも2回盲腸軸捻転症に対して内視鏡的整復術を施行されており再発を繰り返しているため,外科的治療を目的として当科に紹介となり,根治目的で手術の方針となった。
腹腔鏡下に観察すると,上行結腸の口側1/2程度から盲腸にかけて後腹膜との固定不全を認めた。盲腸および上行結腸と後腹膜の癒着を促進させる目的で,腹膜を一部切開し,同部に盲腸から上行結腸までを縫合固定した。術後経過は良好で,術後第3病日に食事を再開し,術後第8病日に軽快退院となった。術後4年2か月現在,再発なく経過している。
盲腸軸捻転症は,本邦における発生頻度は腸閉塞のうち0.4%,結腸捻転症のうち5.9%を占める比較的まれな疾患である。好発年齢は高齢者であるが,今回我々は,若年発症した盲腸軸捻転に対して腹腔鏡下盲腸固定術を施行した1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。