2023 年 50 巻 4 号 p. 181-185
下眼瞼下垂に対する筋膜移植による矯正術において,外眼角部固定点に作成した双茎骨膜弁を利用して移植筋膜の張力調整および縫合糸による固定を円滑・容易にする手技を考案した。本法をこれまで2例に適用し,いずれも術者単独による円滑な固定操作および良好な矯正結果を得られた。本法の利点は,①双茎骨膜弁を滑車として利用することで,移植筋膜の至適張力の術中評価が円滑となること,および②双茎骨膜弁を通して把持した筋膜を適宜前後に振ることにより,通糸部の視野確保や運針操作も容易となること,である。本法は下眼瞼下垂のほかにも,顔面神経麻痺による眉毛下垂に対する筋膜による吊り上げ術などに応用しうる,有用な手技である。