聖マリアンナ医科大学雑誌
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解説
東横病院COVID-19 の取組みの実際 ~入院対応について~
高尾 あずさ森本 順子石田 倫子近藤 昭子
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2024 年 51 巻 Suppl 号 p. S279-S288

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抄録

2020年世界的流行となったCOVID-19は,従来の医療体制を継続することを困難とした。この危機状況に法人内で役割分担により,当院が果たした一般患者および2次救急患者への対応した時期,次に「神奈川モデル」重点医療機関協力病院として陰性化した患者受入れ,疑似症,下り搬送の対応を感染管理専門医不在の中小規模病院として対応した3年間の入院対応の準備と実践経過について報告する。その結果,5階病棟を専用病棟として運用し,2021年4月21日~2023年5月7日までのCOVID-19陽性入院患者総数は,118名。平均年齢68歳。男女比では,男性67名(57%)女性51名(43%)と男性が多かった。重症度割合では,軽症割合が58%,中等度I30%となり,2022年夏ごろより中等度IIの患者を受け入れるようになり12%を占めるに至った。転帰は,自宅退院が最も多く,COVID-19が直接死因となった患者は1名に留まった。また,危機状況におけるチーム医療推進では,情報共有の重要性が挙げられる。同時に,職員の基礎疾患調査や就業に対する意思確認の実施により,COVID-19に関するメンタル不調を理由に離職した者はいなかった。面会制限が続く中では,早期より電話相談の導入,日常・リハビリの様子を動画視聴できる環境を整備し,患者・家族の危機回避支援を実施するに至った。以上,当院として役割を果たすことができたのは,この法人全体の組織力により,根幹にある"愛ある医療"を見失わなかったからである。

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© 2024 聖マリアンナ医科大学医学会
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