聖マリアンナ医科大学雑誌
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原著
横浜市西部病院で検出したノカルジア感染症25例の特徴
村岡 弘海粒来 崇博 駒瀬 裕子田中 洋輔田中 智士鶴岡 一上野 純子松島 彩檜田 直也峯下 昌道井上 健男
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キーワード: ノカルジア感染症
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2024 年 52 巻 2 号 p. 19-26

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抄録

Nocardia属菌は放線菌の一種で,主として肺,皮膚などに感染する。2005年11月-2019年3月に聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院にてNocardia属菌を検出した25症例を調査した。男性16名(64%)で,年齢は70歳以上が22例,中央値は76歳であった。病巣は肺20例,気管支1例,肺と胸水2例,肺と尿路1例,全身播種例1例であった。基礎疾患は膠原病5例,悪性腫瘍2例,血液疾患6例,呼吸器疾患15例で複数の基礎疾患を持つ症例が存在し,基礎疾患がなかったのは3例であった。胸部CTで頻度が高い所見は結節,浸潤影,空洞,気管支拡張であった。抗菌薬治療は15例でなされ,自然軽快含め治癒した症例が8例,転院等で経過が不明な症例が7例,改善後再燃例が1例であった。死亡した症例は9例(36%)であったが,Nocardia感染症が死因となった症例はなかった。本研究対象では,Nocardia感染症は高齢,男性に多く,基礎疾患を持つ症例に多かった。画像所見で特定するのは困難であり,日和見感染症の一つとして念頭に入れ培養検査を行うことが重要である。

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