聖マリアンナ医科大学雑誌
Online ISSN : 2189-0285
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52 巻, 2 号
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原著
  • 村岡 弘海, 粒来 崇博, 駒瀬 裕子, 田中 洋輔, 田中 智士, 鶴岡 一, 上野 純子, 松島 彩, 檜田 直也, 峯下 昌道, 井上 ...
    2024 年52 巻2 号 p. 19-26
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/08/29
    ジャーナル フリー

    Nocardia属菌は放線菌の一種で,主として肺,皮膚などに感染する。2005年11月-2019年3月に聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院にてNocardia属菌を検出した25症例を調査した。男性16名(64%)で,年齢は70歳以上が22例,中央値は76歳であった。病巣は肺20例,気管支1例,肺と胸水2例,肺と尿路1例,全身播種例1例であった。基礎疾患は膠原病5例,悪性腫瘍2例,血液疾患6例,呼吸器疾患15例で複数の基礎疾患を持つ症例が存在し,基礎疾患がなかったのは3例であった。胸部CTで頻度が高い所見は結節,浸潤影,空洞,気管支拡張であった。抗菌薬治療は15例でなされ,自然軽快含め治癒した症例が8例,転院等で経過が不明な症例が7例,改善後再燃例が1例であった。死亡した症例は9例(36%)であったが,Nocardia感染症が死因となった症例はなかった。本研究対象では,Nocardia感染症は高齢,男性に多く,基礎疾患を持つ症例に多かった。画像所見で特定するのは困難であり,日和見感染症の一つとして念頭に入れ培養検査を行うことが重要である。

総説
  • 与芝 茜, 中村 直樹, 岡田 幸法, 小西 秀弥, 坂ノ上 真梨子
    2024 年52 巻2 号 p. 27-33
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/08/29
    ジャーナル フリー

    有痛性骨転移に対して放射線治療を行った後に疼痛が残存,増悪した場合には同一部位への再照射が適応となる。初回照射で疼痛緩和が得られたかどうかは,再照射の治療効果予測因子にならず,①初回照射により疼痛緩和が得られなかった場合,②ある程度の疼痛緩和が得られているもののまだ効果が不十分な場合,③疼痛緩和が得られたのちに疼痛が増悪した場合,の全てにおいて再照射の適応となる。再照射の疼痛奏効割合は68%,疼痛消失割合は20%と,初回照射と遜色ない治療成績が報告されている。8 Gy/1回の線量分割が最も推奨される。再照射の検討は初回照射開始から2か月以降に行うことが推奨される。

    脊椎への再照射では脊髄の耐容線量が問題となる。初回照射の生物学的等価線量が80 Gy2以下であれば,通常照射での再照射が適応可能である。初回照射の線量分割が生物学的等価線量80 Gy2を超えるようであれば,体幹部定位放射線治療(Stereotactic Body Radiation Therapy: SBRT)を用いて脊髄線量を低減したうえで再照射を行うことを考慮するべきである。

症例報告
  • 岡村 航, 長田 洋資, 麻生 健太郎, 清水 直樹
    2024 年52 巻2 号 p. 35-42
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/08/29
    ジャーナル フリー

    新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の急性心不全の原因として心筋梗塞や心筋炎を主とした心筋障害があることは知られているが,小児における心筋梗塞は稀である。今回COVID-19を契機に判明した巨大冠動脈瘤を伴う急性心筋梗塞の症例を経験した。7歳女児がCOVID-19罹患後に心停止となり,蘇生後に心筋炎として加療開始した。急性期治療終了後に,冠動脈評価を行うため冠動脈CTと冠動脈造影検査(Coronary angiography, CAG)を施行したところ巨大冠動脈瘤と急性と陳旧性の心筋梗塞が判明し,抗凝固療法を開始した。ウイルス感染症急性期にdiffuse hypokinesisを認めたことから心筋炎を発症したと判断したが,心筋梗塞が背景にあったことが判明した。発症時から冠動脈瘤を認めていたことからCOVID-19で過凝固となり,急性心筋梗塞を発症した可能性が予想された。超音波による冠動脈瘤の診断には限界があり,小児の冠動脈精査には冠動脈CTまたはCAGが有用である。感染急性期の心不全であっても,冠動脈瘤や急性心筋梗塞を鑑別に挙げて冠動脈精査を加えることを検討すべきである。

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