聖マリアンナ医科大学雑誌
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原著
悪性黒色腫におけるBRAF/MEK阻害薬の免疫学的影響
秋野 幸岡野 達郎宮垣 朝光玉置 真弓門野 岳史
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2025 年 53 巻 2 号 p. 23-36

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抄録

BRAF/MEK阻害薬は,BRAF遺伝子変異を有する悪性黒色腫に対して高い治療効果を示す一方,発熱やCRP上昇を伴う全身性の炎症反応が高頻度に出現するが,その免疫学的背景は十分に解明されていない。BRAF/MEK阻害薬が投与された悪性黒色腫患者を対象に,治療開始前後のCRPや白血球数などの経時的変化を後方視的に解析したところ,BRAF/MEK阻害薬投与群でCRPの有意な上昇がみられ,好中球数やリンパ球数の増加もみられた。さらに,健常ヒトリンパ球およびマウスリンパ球を用いて,MEK阻害薬単剤またはBRAF/MEK阻害薬を併用した場合のmRNA産生の変化を網羅的に解析した。ヒトとマウスでは共通してIL-6に関わる遺伝子の増加がみられた一方,TNF-αの発現は抑制されていた。また,ヒトとマウスに共通して全ての群で発現が上昇していたのはCXCL16,GADD45B,PIK3CGであった。これらの結果から,BRAF/MEK阻害薬は臨床においてはCRP上昇といった炎症を惹起し,マウスおよびヒトリンパ球を用いたin vitroの実験からは,IL-6の経路を中心とする遺伝子の変動が炎症を惹起する可能性が示唆された。

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