2025 年 53 巻 2 号 p. 37-43
【目的】特発性網膜前膜(iERM)へ内境界膜(ILM)剥離の有用・有害性について多数報告されている。今回糖尿病網膜症(DR)を有するERMに対しILM剥離を施行し,術後視機能について検討する。
【対象と方法】対象は2020年8月から2021年12月までの間にDRを有しているiERMに対し治療介入し,6カ月の経過観察を行った11眼。検討項目は視力,M-CHARTSスコア(縦・横),中心窩網膜厚とした。網膜感度(中心4°,10°,20°)は経過観察可能であった8眼で検討を行った。
【結果】logMAR矯正視力は術前0.14±0.12,術後0.06±0.10と有意な改善が得られた(p=0.001)。中心窩網膜厚は術前339±64 μm,術後335±81 μmと有意な菲薄化は認められなかった。Mチャートスコアは縦,横ともに統計的に有意な変化は認められなかったが,縦方向では術後に悪化傾向が観察された。術前及び術後網膜感度は中心4°,10°,20°いずれで感度低下は認められなかった。
【結論】DRを有するiERMに対しILM剥離を行った場合もアーケード内網膜感度を低下させない可能性が示唆された。