口腔・咽頭科
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原 著
口内炎から発見された尋常性天疱瘡の1例
森 智昭嶋根 俊和金井 英倫門田 哲弥寺崎 雅子三邉 武幸
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2013 年 26 巻 1 号 p. 65-69

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抄録

はじめに: 今回我々は20歳代に多発する口内炎を発症するがステロイド加療で軽快し, 40歳代に再燃した尋常性天疱瘡の1例を経験したので報告する.
症 例: 48歳, 女性
現病歴: 27歳頃に多発する口内炎を発症. 前医で生検等の精査をしたが確定診断には至らず, シェーグレン症候群の疑いとの診断で約1年間プレドニゾロン (以下PSLと略す) 5mgを内服し症状は軽快した. その後症状の再燃はなく経過していたが, 48歳 (2011年1月頃) から症状が再燃して当院耳鼻咽喉科を紹介受診となった. 臨床症状, 病理組織, 採血結果が天疱瘡の診断基準を満たしており, 尋常性天疱瘡と診断. ステロイド投与を開始したところ症状は軽快. 現在はPSLを漸減しながら外来経過観察中である.
まとめ: 難治性口内炎として当院に紹介となり, 皮膚科との併診で診断された尋常性天疱瘡の1例を経験した. 尋常性天疱瘡は耳鼻咽喉科を初診することもある疾患であり, 難治性口内炎の診断にあたっては本疾患を念頭に置くことが重要である.

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© 2013 日本口腔・咽頭科学会
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