口腔・咽頭科
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30周年記念講演
総説
特別講演 味センサーの多機能性と味シグナルの口腔脳腸連関による食調節
総説
  • 二ノ宮 裕三
    2018 年 31 巻 1 号 p. 7-13
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー
    味覚は,体が必要とする栄養素を過不足なく摂り,健康を維持するうえで不可欠な感覚である.生物は,体内の糖や塩分が不足すると,甘味・塩味の情報を手掛かりに探し出し摂取する.逆に苦味や強い酸味物質は有害物として忌避する.味情報が,快・不快の情動,咀嚼,唾液・消化液・ホルモンの分泌を介して食行動・栄養吸収を調節し,生体恒常性が維持されている.近年,筆者らは,甘味受容体が消化管・膵臓・食欲中枢にも発現し,口腔脳腸が味情報・内分泌系で連携しエネルギー調節に寄与することを見出した.本稿では,その味シグナルの食の調節系や生体防御系における新しい機能を含め,味センサーの多臓器発現・多機能性研究の新知見を紹介する.
シンポジウム2 嚥下障害診療 Up to date
総説
  • 稲本 陽子, 才藤 栄一
    2018 年 31 巻 1 号 p. 15-19
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー
    嚥下の画像評価は,嚥下造影検査と嚥下内視鏡検査が標準的検査法として広く有効に用いられている.近年開発された320列面検出器型CT(320-ADCT)は,世界初の嚥下運動の立体的・動的画像化・解析を可能とし,嚥下臨床・研究にあらたな可能性を広げた.3次元化による優位性は,嚥下中に生じる種々の事象を同時に制限なく観察できることで,これまで不可能であった声帯の動態計測,食道入口部開大面積計測,咽頭体積計測など様々な定量評価を実現したことにある.これらの定量評価をもとに,誤嚥を予防する運動調整機構や咽頭残留のメカニズムについての新しい見解が得られている.嚥下CTと称され,臨床応用がすすめられ,嚥下リハビリの新戦略となっている.
シンポジウム3 Precision medicine in Sleep medicine & Surgery
総説
  • 相澤 直孝
    2018 年 31 巻 1 号 p. 21-26
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー
    睡眠呼吸障害は個人の健康だけでなく,社会的損失も大きい疾患である.成人の標準治療はCPAPであり,継続が可能であれば治療効果は高い.CPAPの発達により,近年では在宅でも導入可能なオートCPAPを使用する症例が増加している.ただし,循環器や呼吸器,脳神経領域でCPAPでは症状が改善しない疾患もあり,注意を要する.また,機器の性能が向上してもアドヒアランスは改善せず,CPAP脱落例の増加が懸念される.CPAP圧を上昇させる主因として鼻副鼻腔疾患や口腔咽頭疾患があげられる.耳鼻咽喉科医は上気道の専門家としてCPAP導入などの初期治療を開始し必要があれば外科的治療を行うことが可能である.今後は診療のゲートキーパーとしての役割が期待される.
  • 北村 拓朗, 鈴木 秀明
    2018 年 31 巻 1 号 p. 27-31
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー
    CPAPはOSAに対する「フリーサイズ」な治療法として広く普及している.CPAPが一旦処方されると患者は半永久的な毎晩のマスク装着と定期的な通院というライフスタイルの変容を余儀なくされ,また医療者側もCPAP治療開始後のアドヒアランスや患者の状況を詳細に把握し,きめ細やかな対応・指導を継続していく必要がある.よって安易なCPAP処方を行う前に,個々の病態生理に基づいてその他の治療の適応について十分検討することが重要であり,CPAPは必ずしも成人OSAの第一選択とはいえない.近年,OSAにおける睡眠中の上気道の開存性は解剖学的要因のみでなく,呼吸中枢不安定性,咽頭筋反応性,および覚醒閾値の4つの要因の相互関係により決定されるという考え方が主流となりつつあり,個別化医療への応用が期待されている.約30%のOSA患者が解剖学的要因単独で,残りの70%が解剖学的要因とその他の要因が複合してOSAを生じていると報告されていることから,OSAの個別化治療,適正治療においてはいかに上気道の形態異常を改善させるかが鍵であり,外科的治療や口腔内装置の適応について常に念頭におく必要がある.睡眠外科の役割を明確にするために,本邦における閉塞部位診断や外科的治療に関するガイドラインが耳鼻咽喉科や口腔外科主導で作成されることが望まれる.
  • 酒井 あや
    2018 年 31 巻 1 号 p. 33-37
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー
    小児睡眠時無呼吸の治療方針は,アデノイド・口蓋扁桃摘出術が第一選択とされる記載もあるが,明確な適応基準がなく,各施設に判断が委ねられているのが現状である.適切な治療がなされない場合,高次脳機能障害,顎顔面骨格の劣成長,心血管機能障害,身体発育への影響を及ぼす.将来,成人OSA発症の可能性もある.適切な時期に治療を行う必要がある.今回,小児OSAにおける治療の第一選択は手術であり,診断基準,睡眠検査や適応を決めるポイントについて紹介する.
  • 恩田 信人, 千葉 伸太郎
    2018 年 31 巻 1 号 p. 39-43
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー
    小児閉塞性睡眠時無呼吸症は,その診断ならびに治療に関しての確立したプロトコルが未だ無い.ガイドライン上も手術治療が第一選択と述べられているが,その適応についての明確な記載はなく,かといって保存治療に対するエビデンスの蓄積も十分ではないのが現状である.手術治療は必要と考えられる症例には選ぶべき選択肢であると考えるが,今後は適応と方法を確立していく事により,保存療法から開始する治療戦略として新しい小児OSA治療プロトコルの一つになる可能性を秘めているのではないかと考える.
シンポジウム4 中・下咽頭癌の経口的切除の適応と限界
総説
  • 冨藤 雅之, 荒木 幸仁, 宇野 光祐, 田中 伸吾, 塩谷 彰浩
    2018 年 31 巻 1 号 p. 45-50
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー
    下咽頭癌に対する経口的切除の適応と限界について解説を行った.下咽頭癌に対するTOVSの適応として以下のものが挙げられる.T分類ではTis-T2,一部のT3病変,N分類ではN2までが良い適応である.局所進行癌に対しては導入化学療法とTOVSを組み合わせた治療も可能である.手術解剖から見ると腫瘍の周在性としては1/2周程度までの病変で甲状軟骨,舌骨,輪状軟骨への浸潤がないものが適応である.年齢的な限界としては80歳代でも可能な症例もあるが,嚥下障害に注意を要する.Salvage,既照射例に関してはrT2病変までであるが合併症を生じやすく適応判断および術後管理には慎重な対応が必要である.
原著
  • 大上 研二, 戎本 浩史, 槇 大輔, 飯島 宏章, 花北 朋哉, 飯田 政弘
    2018 年 31 巻 1 号 p. 51-55
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー
    中咽頭癌に対する低侵襲治療としての経口的切除は,その安全性と有効性は確立されつつある.当科では2012年よりTransoral Videolaryngoscopic Surgery (TOVS)を導入した.手術適応はT1-2と一部のT3でN0-2aまでを基本として,術後照射なしに手術で完結可能性の高い症例を対象とした.リンパ節転移のある例には経口的切除と同時に頸部郭清術を行っているが,N0例には予防的郭清術は行わない.FOSSと治療前後の嚥下内視鏡検査を用いて自他覚的な機能評価をした.腫瘍学的な評価と自他覚的な機能評価の結果から,本術式の有効性と安全性は満足の行くものであった.術式の適応の限界について文献的に考察した.
教育セミナー1 慢性上咽頭炎と上咽頭処置を再考する
総説
  • 田中 亜矢樹
    2018 年 31 巻 1 号 p. 57-67
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー
    1960年代に注目された慢性上咽頭炎の概念は現在広く普及しておらず,その理由に内視鏡が存在せず視診が困難であり,診断・治療が標準化されず不十分な上咽頭処置により不十分な治療結果となった可能性が挙げられる.頭頸部癌の新生血管発見目的に開発された帯域制限光内視鏡を上咽頭炎診断に応用を試み,1%塩化亜鉛溶液による即時的白色化現象,経時的白色化現象を中心に診断の要点を見出し,少なくとも中等度以上の上咽頭炎は内視鏡診断が可能と考えた.逆台形型時計に喩えた上咽頭各部位と内視鏡下上咽頭擦過療法(Endoscopic Epipharyngeal Abrasive Therapy:E-EAT)時の関連痛部位との相関を知ることは盲目的EAT(従来のBスポット療法)の手技向上にも有用である.
  • 堀田 修, 永野 千代子
    2018 年 31 巻 1 号 p. 69-75
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー
    1960年代にわが国で脚光を浴びた慢性上咽頭炎が近年,耳鼻咽喉科の枠を越えて再び注目を集めつつある.その理由は上咽頭の慢性炎症が後鼻漏,咽頭痛,咽頭違和感等の局所症状に留まらず,慢性疲労,起立性調節障害,過敏性腸症候群等の神経・内分泌系異常を介した症状,IgA腎症の急性増悪,掌蹠膿疱症,反応性関節炎等の自己免疫機序を介した症状等,実に多彩な臨床症状を呈することにある.そして,塩化亜鉛溶液を浸した綿棒を用いた上咽頭擦過療法(Epipharyngeal Abrasive Therapy,EAT)が様々な全身症状の改善に寄与することが再認識されつつある.
    過去20年の間に神経系と免疫系の連関メカニズムが次々と解明され,最近では迷走神経刺激装置を用いる神経反射を介した免疫疾患や神経疾患への臨床応用も登場し注目されている.上咽頭は神経線維が豊富で迷走神経が投射しており,EATの効果には類似の作用機序が関与していることが推察される.また,脳リンパ路が脳代謝産物の排泄路として重要な役割を果たすことが最近明らかとなったが,上咽頭はこの排泄路の要所であり,EATの瀉血作用を介した鬱血状態の軽減が脳リンパ路の機能改善に繋がると推定される.すなわち,塩化亜鉛溶液による炎症部位の収斂作用のみでなく,上咽頭擦過による迷走神経刺激と瀉血による鬱血・リンパ鬱滞の改善がEATの作用機序として関与していることが推察される.
    上咽頭は単なる空気の通り道ではなく,神経系・免疫系・内分泌系に影響を及ぼす,いわば全身の「健康の土台」を担う重要部位である.慢性上咽頭炎はこの「健康の土台」が傾いた状態であり,その是正は関連疾患・症状の改善のみならず疾病予防という見地からも重要である.慢性上咽頭炎の治療手段として現状ではEATがBenefit/Risk比の高い処置であるが,慢性上咽頭炎が内包する多様な病態の科学的解明とそれに基づいた新規治療法の開発が医学・医療のブレイクスルーにつながると期待する.
教育セミナー3 IgG4関連疾患 耳鼻咽頭科と内科の立場から
総説
  • 正木 康史
    2018 年 31 巻 1 号 p. 77-81
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー
    IgG4関連疾患は21世紀に入り本邦より発信された原因不明のリンパ増殖性疾患で,IgG4産生形質細胞が全身諸臓器で腫瘤性病変を形成し,高IgG4血症を呈する.IgG4関連疾患は初期には中等量ステロイド治療が著効する.しかしながら多くの鑑別疾患でも,高IgG4血症や組織中IgG4陽性形質細胞増多を認めることがあり注意を要する.治療は副腎皮質ステロイドprednisolone中等量内服より開始,慎重に漸減し,症状や臨床データの推移をもとに維持量を決定するのが望ましい.本疾患は頭頸部領域に病変を有する症例が多く,内科と耳鼻咽喉科の連携が重要である.
教育セミナー4 口腔・咽頭疾患の超音波検査
総説
教育セミナー5 耳下腺腫瘍の治療
手技
ランチョンセミナー1 味覚障害の診断と治療
総説
  • 任 智美
    2018 年 31 巻 1 号 p. 97-102
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー
    味覚障害の受診患者は増加している.味覚異常の訴えは量的異常と質的異常に分けられ,電気味覚検査と濾紙ディスク法で機能評価を行う.現行の原因分類は障害部位と原因が混合しているため再考が必要である.治療は亜鉛内服療法がエビデンスを持つ治療だがビタミンや鉄欠乏症には補充療法,口腔乾燥症例には唾液分泌促進剤,心因性には抗不安薬抗うつ薬など併用する.時に漢方が著効する場合もあるので随証に合わせた処方を選択する.高齢者でも若年者と比較して改善率に有意差は見られない.フレイルの原因になり得ることもあるため,積極的な治療を行うことが望まれる.
ランチョンセミナー2 アレルゲン免疫療法の実際と対応
総説
原著
  • 近藤 敦, 黒瀬 誠, 高野 賢一, 氷見 徹夫
    2018 年 31 巻 1 号 p. 107-111
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー
    1998年から2015年までの間に当科で一次治療として手術を行った37例の耳下腺癌症例を対象として臨床的検討を行った.性別は男性21例,女性16例で平均年齢は61.6歳(18〜81歳)であった.T分類の内訳はT1が10例,T2が12例,T3が6例,T4aが9例であった.病期分類の内訳はstageⅠが8例,stageⅡが11例,stageⅢが4例,stageⅣが14例であった.全体の5年疾患特異的生存率は82.3%であり,予後不良因子はT4,stageⅣ,頸部リンパ節転移陽性,組織学的高悪性度,顔面神経麻痺であった.37例中10例で再発しうち6例で死亡した.死亡例6例中5例の死因は遠隔転移であった.予後の改善のためには術後補助療法の徹底と遠隔転移の制御が重要であると考えられた.
  • 樋口 雄將, 野村 泰之, 大島 猛史
    2018 年 31 巻 1 号 p. 113-117
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー
    我々は,口腔の諸症状に加えて唾液の分泌低下を伴った34症例に対し塩酸ピロカルピンの投与を行い,自覚症状,他覚所見を経時的に検討した.その結果,自覚症状では口内乾燥感,唾液粘稠感,食事がしみる,味覚低下,異常味覚で有意な改善を認め,他覚所見では乾燥,泡状唾液,発赤,唾液分泌量,味覚検査で有意な改善が認められた.口腔乾燥症に伴う諸症状に対して塩酸ピロカルピンの内服は有効であると考えられた.
  • 佐藤 有記, 島津 倫太郎, 倉富 勇一郎
    2018 年 31 巻 1 号 p. 119-124
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー
    4.5cmの舌根部神経鞘腫に対し,直達喉頭鏡を用いて摘出した1例を経験した.症例は44歳男性,偶然に舌根部腫瘤を指摘され当科受診した.腫瘍は舌根部尾側の喉頭蓋近傍に基部を持つ4.5cm大の腫瘍で,気管切開の後,直達喉頭鏡を用いて摘出術を施行した.術後病理組織検査の結果,神経鞘腫(Antoni A型)の診断となり,術後の神経脱落症状も認めず経過良好である.舌根部に発生した神経鞘腫は比較的稀な疾患であり,腫瘍の発生部位と大きさに応じた術式の選択が必要である.自験例のように舌根部尾側に生じた比較的大きな舌根部腫瘍に対しても手術侵襲の大きい頸部外切開ではなく,直達喉頭鏡を用いることで安全かつ確実に摘出可能であると考える.
  • 野上 兼一郎, 倉富 勇一郎
    2018 年 31 巻 1 号 p. 125-129
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー
    口腔・咽頭の撮影には主にリングライトを装着したデジタルスチルカメラが用いられてきたが,既存のリングライトカメラ装置は開口障害がある症例や咽頭反射が強い症例,幼小児等では撮影困難であった.今回我々は,高輝度LEDをリング状に20個配列した内径3cmのリングライト,クローズアップレンズ,ミラーレス一眼カメラより構成される口腔・咽頭撮影用リングライトカメラシステムを開発した.
    本システムは幼小児や開口障害がある症例でも口腔・咽頭に十分な光を当てる事が出来,咽頭反射が強い場合は動画撮影で記録し,深い被写界深度により口腔・咽頭全体にフォーカスが合った静止画が得られ,速いシャッター速度により画像のブレを予防でき,軽量で,補助者なしでの撮影を容易にした.
    我々は本システムの商品化に成功し,2017年冬より市販されて利用可能になっている.本システムが様々な医療分野での日常診療をサポートする機器の一つとして広く利用されることを期待している.
  • 西井 智子, 任 智美, 梅本 匡則, 前田 英美, 阪上 雅史
    2018 年 31 巻 1 号 p. 131-135
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー
    亜鉛欠乏性・特発性味覚障害435例を対象に,質的異常と量的異常に分類して年齢,味覚機能,血清亜鉛値,心理テスト,改善率,治療法について比較検討を行った.質的異常例は量的異常例と比較すると,年齢層が有意に高く,血清亜鉛値が正常範囲の例が多かった.味覚検査では味質の認知性が保たれる例が多く,亜鉛補充療法の効果がみられない例が有意に多かった.亜鉛欠乏の関与が低いと考えられた例では,漢方薬や抗不安薬が有効な例もあり,特に質的異常例で多くみられた.質的異常と量的異常では病態が異なる場合があるため,症状別に特徴を把握する必要があると考える.
  • 清川 佑介, 野村 文敬, 朝蔭 孝宏
    2018 年 31 巻 1 号 p. 137-141
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー
    歯原性角化嚢胞は耳鼻咽喉科・頭頸部外科で治療することは稀だが,上顎洞内に進展した場合は,治療を担当する可能性がある.
    今回我々は初回治療から22年後に再発した歯原性角化嚢胞を経験したので報告する.70歳女性.開口障害を主訴に近医口腔外科受診した.CTで上顎骨から翼口蓋窩に進展した多発する嚢胞性病変を認め,嚢胞間には骨新生を認めた.歯齦部から生検を行い歯原性角化嚢胞と診断され当科に紹介された.
    48歳時に左上顎腫瘤に対して手術の既往があったことから,歯原性角化嚢胞の再発と考えられた.病変の進展範囲から,上顎全摘術を施行した.切除断端は陰性で,悪性化の所見も認めなかった.術後1年3ヵ月再発を認めていない.
  • 中谷 宏章, 福島 慶, 田口 大藏, 榎本 康治
    2018 年 31 巻 1 号 p. 143-148
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー
    最近我々は比較的小さな耳下腺浅葉多形腺腫症例において,浅葉部分切除術と被膜外摘出術の中間的な手術を行っている.今回この方法で手術を行った症例の治療成績を検討し,その妥当性についても検討した.対象は2010年10月〜2016年6月の期間に手術を行った新鮮例15例で,腫瘍径は10.7〜54.8mm(平均23.3mm)であった.手術は顔面神経のモニタリング下に行い,1cmほどの耳下腺組織を付けて腫瘍を摘出した.手術時間は平均97分,出血量は平均8ml,術後入院期間は平均4.1日目で,再発や顔面神経麻痺,Frey症候群,唾液瘻を来した症例はなく,浅葉腫瘍手術の選択肢になり得ると考えられた.
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