口腔・咽頭科
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最新号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
総説
「特別講演3」
  • 上田 昌史, 丸山 健太
    2025 年38 巻3 号 p. 245-255
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/15
    ジャーナル フリー
    我々は,真菌感染によって生じる炎症と骨破壊が痛覚神経によって抑制されていることを発見した.また,痛覚神経と皮膚の上皮に真菌受容体が発現し,これらが協調しながら真菌感染随伴疼痛を発生させている分子機構を解明したほか,腸上皮に発現する機械刺激受容体が腸炎や骨代謝を制御している一面を明らかにしてきた.また最近では,痛覚神経が液性因子を介してミクログリアを抑制することで敗血症死を防いでいることを見出した.一連の成果は感覚系と骨免疫系が相互作用することで全身の機能を調節していることを示しており,「感覚免疫学」ともいうべき学際領域の提唱に至っている.当該領域の研究によって生理学と免疫学の双方に新しい発想が生まれ,これまでにない鎮痛薬や免疫調節医薬の開発が期待される.
「教育講演5」
  • 高野 賢一
    2025 年38 巻3 号 p. 256-261
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/15
    ジャーナル フリー
    IgG4関連疾患は,高IgG4血症と腫大した罹患臓器への著明なIgG4陽性形質細胞浸潤と線維化を特徴とする,全身性の慢性炎症性疾患である.IgG4関連疾患に対する包括診断基準ならびに唾液腺を含む臓器別診断基準も改訂が進み,欧米でも新分類基準が作成されるに至り,本疾患に関する知見や経験は相応に蓄積されてきた.これらの診断基準や分類基準を用いて,症例を拾い上げ,かつ正確な診断を行うことが耳鼻咽喉科医にも求められている.耳鼻咽喉科頭頸部領域におけるIgG4関連疾患の典型的な罹患臓器として,頻度の高い涙腺・唾液腺であるが,腺外病変の可能性や類似疾患,悪性疾患の鑑別を常に念頭におきたい.
「会長特別企画 シンポジウム 4 多職種で取り組む摂食・ 嚥下診療」
  • 酒井 章博
    2025 年38 巻3 号 p. 262-266
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/15
    ジャーナル フリー
    在宅嚥下障害診療においては,様々な職種が介入しそれぞれの専門性を活かして患者や家族を支援しており,各職種間の連携が必要である.異なる職種間の連携には,相互理解と協働姿勢が重要である.そのためには,診療現場に各職種が集い,互いの意見を聞き,技術をみることが必要であり,それにより自身の知識や技術が向上して,より連携が深まる.また,在宅医療での情報伝達や情報共有において,従来の紙運用では迅速に対応できず,EメールやSNSでは秘匿性に問題がある.近年はICTを使うことで,秘匿性を保ち迅速に情報伝達や情報共有できるようになっている.本稿では,在宅嚥下障害診療における多職種連携の課題と対応について解説する.
原著
  • 中村 美代子, 那須 隆, 野内 雄介
    2025 年38 巻3 号 p. 267-273
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/15
    ジャーナル フリー
    耳下腺腫瘍は術前評価で良性と診断された場合,患者の希望等により手術の施行までに長期を要することが経験されるが,どの段階で手術を強く勧める必要があるのか明確な基準は存在しない.そこで,手術時期を判断するための条件を検討することを目的に,当科で耳下腺腫瘍切除術を行った61例について検討を行った.結果,腫瘍が耳下腺上極に存在あるいは最大腫瘍径が25mm以上の症例では術後顔面神経麻痺のリスクが高く,より早期での手術が望ましいと考えられた.またワルチン腫瘍以外の組織型が考えられる場合や,疼痛や可動性不良,腫瘍の増大を認める場合には,悪性腫瘍の可能性を念頭に早期の手術を勧めるべきと考えられた.
  • 大野 芳裕
    2025 年38 巻3 号 p. 274-279
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/15
    ジャーナル フリー
    慢性上咽頭炎に対して上咽頭擦過療法(EAT)を継続して行うと,上咽頭粘膜に白色筋状の変化が観察されることがあり経時的白色化現象(白色化)とされている.慢性上咽頭炎154例に対してEATを施行し,白色化の頻度や内視鏡所見重症度改善との関連,治療前の発赤・腫脹等各所見との関連について検討した.EAT施行後に白色化は102例(66.2%)にみられた.白色化症例は内視鏡所見重症度が有意に改善していた(p=0.005).また腫脹の程度が強い症例では有意にみられなかった(p=0.002).白色化の観察には通常光と狭帯域光(NBI)を用いたが,NBIは白色化の有無判定に有用と思われた.白色化は内視鏡所見改善の指標となる可能性が示唆された.
  • 松永 崇志, 平野 隆, 吉永 和弘, 川野 利明, 立山 香織
    2025 年38 巻3 号 p. 280-285
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/15
    ジャーナル フリー
    2007年1月から2023年12月までに大分大学医学部耳鼻咽喉科で治療を行った口腔癌142例の臨床的検討を行った.5年疾患特異的生存率は,Ⅰ期83.0%,Ⅱ期72.3%,Ⅲ期60.0%,ⅣA期61.6%,ⅣB期29.2%であった.58症例の皮弁再建症例を検討した結果,術前導入化学療法(Induction chemotherapy:ICT)後の手術治療の生存率は72.6%,手術単独は72.9%,術前放射線後の手術は58.8%であり,ICT後の手術治療は手術単独と同等であった.ICTは手術までの待機として有効と考えられた.
症例
  • 森脇 悠利, 秋定 直樹, 藤本 将平, 牧野 琢丸, 安藤 瑞生
    2025 年38 巻3 号 p. 286-295
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/15
    ジャーナル フリー
    術前の穿刺吸引細胞診にてオンコサイトーマと診断され,術後にそれぞれオンコサイト変性を伴う粘表皮癌,オンコサイト変性を伴う腺房細胞癌と診断された耳下腺腫瘍の症例を経験したため,文献的考察を加えて報告する.それぞれの症例間で摘出標本のオンコサイト変性と悪性腫瘍組織の分布に異なった所見を認め,複数回のFNAを実施していれば,術前に悪性腫瘍の診断に至っていた可能性も考えられた.また当施設で手術を施行した耳下腺腫瘍症例(340例)を調査し,2.6%の症例(9例)でオンコサイト変性の関与を認めた.術前にオンコサイトーマと診断された場合には,悪性腫瘍の混在も念頭に置いた対応が必要である.
  • 勅使河原 理沙, 篠原 宏, 清水 啓成
    2025 年38 巻3 号 p. 296-300
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/15
    ジャーナル フリー
    特発性縦隔気腫の症例を報告した.特発性縦隔気腫は,外傷や基礎疾患がない状態で突然発症するまれな疾患であり,やせ型の若年男性に多く見られる.症例は23歳男性で生来健康である.右頸部痛と咽頭痛を主訴に来院した.石灰沈着性頸長筋腱炎を疑い施行した単純CT検査で偶然,頸部食道の背側及び右外側と右鎖骨下動脈の外側に小さな気腫が認められ縦隔気腫と診断した.安静のみで経過観察を行った結果,2週間後には自然治癒した.特発性縦隔気腫は,咳嗽などの気道内圧の上昇に関連した発症が多く,診断にはCT検査が有効である.治療は安静が主体であり,予後は良好であるものの,縦隔炎などの合併症が起きる可能性があるため,経過観察が重要とされる.
  • 手島 大雅, 牧野 琢丸, 安藤 瑞生
    2025 年38 巻3 号 p. 301-304
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/15
    ジャーナル フリー
    頭頸部アルミノックス治療が下咽頭癌に対して実施される機会は少ないが,我々は本治療によって喉頭温存が可能であった再発下咽頭癌症例を経験したため報告する.症例は66歳男性.放射線治療および複数回の内視鏡的粘膜下層剥離術を実施された後の再発下咽頭癌に対して,頭頸部アルミノックス治療を4サイクル実施した.照射後の残存病変に対して経口的切除を実施して以後,再発なく経過しており,喉頭摘出を回避している.下咽頭は複雑な形態を有しており本治療の実施は容易ではないが,適応となる症例は存在する.また,機器の進歩および新規照射アプローチ法の考案により適応症例が今後増える可能性がある.
  • 山口 正樹, 江崎 伸一, 佐藤 慎太郎, 有馬 菜千枝, 蒲谷 嘉代子, 岩崎 真一
    2025 年38 巻3 号 p. 305-310
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/15
    ジャーナル フリー
    舌下腺唾石は唾石症の1%程度を占める稀な疾患である.今回,26歳女性の舌下腺唾石症例を経験した.1年以上前から顎下部腫張を繰り返し,ワルトン管内の唾石が疑われ,全身麻酔下唾石摘出術を施行した.唾液腺内視鏡をワルトン管内に挿入したが唾石が認められなかったため,口腔底の粘膜を切開し,舌下腺内に同定された唾石を摘出した.過去の報告を比較検討した.殆どの症例は舌下腺唾石と術前に診断されていたが,急性炎症時の舌下腺の腫脹を確認できなかった2症例では顎下腺唾石と診断されていた.このような症例でも正しい術前診断を得るためには,CTやオルソパントモ写真で唾石と下顎骨の関係を精査することが有用と考えた.
  • 萬年 祥子, 吉田 有砂, 重冨 征爾
    2025 年38 巻3 号 p. 311-316
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/15
    ジャーナル フリー
    咽頭異物は耳鼻咽喉科診療において比較的頻度の高い疾患であるが,異物が咽頭腔外に迷入し視認が困難な場合があり,これらは咽頭腔外異物と称される.咽頭腔外異物は迷入する部位によっては重篤な合併症を引き起こしうることから,早期摘出を要すると報告されている.今回我々は咽頭腔外異物を頸部外切開およびX線透視撮影装置(Cアーム)を用いて摘出した1症例を経験したので文献的考察を加えて報告する.咽頭腔外金属異物の摘出にあたり,不用意な組織損傷を避け,異物遺残を防止する観点から,術野を明瞭に視認できる外切開とリアルタイムで局在が確認可能なCアームの併用は有用であると考えられた.
  • 川﨑 博人, 鈴木 健介, 阪上 智史, 藤澤 琢郎, 八木 正夫, 岩井 大
    2025 年38 巻3 号 p. 317-322
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/15
    ジャーナル フリー
    下咽頭梨状陥凹瘻の治療法は頸部外切開による導管摘出術が第一選択とされていたが,近年は経口的導管摘出術や瘻孔焼灼術の報告がある.今回,我々は下咽頭梨状陥凹瘻に対し,咽頭表在癌に対して用いられる内視鏡的咽喉頭手術(ELPS)を応用し,縫合によって経口的瘻孔閉鎖術を施行し,一期的に瘻孔閉鎖が可能であった1例を経験した.ELPSの手技には内視鏡操作や彎曲した鉗子等の操作が必要であり,高度な技術が求められるが,導管の同定やワーキングスペースの確保,術野の維持に優れていると考えられる.下咽頭梨状陥凹瘻に対するELPSは術式の選択肢の1つとして期待される.
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