抄録
近年, 超高齢社会を迎え脳血管障害などによる嚥下障害患者は増加傾向にあり, 低侵襲な嚥下機能改善手術が注目されつつある. 経口的に行う内視鏡下輪状咽頭筋切断術 (ECPM) の需要はますます高まるものの, ECPM の手技は確立されてはおらず, その手術適応においては未だ標準化されていないのが現状である. 当科では, ECPM の術式を基本とし輪状咽頭筋を確実に切除し食道入口部粘膜を広く形成する, いわゆる ECPM 変法 (内視鏡下輪状咽頭筋切除術) を行い術後早期からの経口摂取による栄養状態の改善と比較的良好な患者満足を得てきた. 適切に症例を選択すれば, 胃瘻中心に栄養摂取していた患者が手術後に普通食の経口摂取が可能になる場合も多い. 本稿では当科で行う ECPM の手技と手術適応を解説し, その治療効果に言及した.