口腔・咽頭科
Online ISSN : 1884-4316
Print ISSN : 0917-5105
ISSN-L : 0917-5105
原 著
初診時に脳神経症状を呈した上咽頭癌症例の検討
松井 祐興那須 隆岡崎 慎一野田 大介岡崎 雅千田 邦明小池 修治欠畑 誠治
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 30 巻 1 号 p. 111-116

詳細
抄録

 一次治療を行った初診時に脳神経症状を認めた上咽頭癌症例の治療経過を振り返り, 脳神経症状の出現頻度, 治療上の問題点について検討した.
 対象は, 2002 年から 2014 年 4 月までの間に一時治療を行った上咽頭癌症例 24 例の中で, 初診時すでに脳神経症状を満たした 5 例. 性別は男性 3 例, 女性 2 例, 年齢は 28 歳から 74 歳 (中央値49歳). 2-42 ヵ月 (中央値29ヵ月). 脳神経症状の内訳は, 下位脳神経 4 例, 視神経 1 例であった. 下位脳神経症状があった 4 例中, BSC 1 例を除いた 3 例で胃瘻での栄養管理とし治療を実施した. しかし, 全例で肺炎の合併を認められた. 下位脳神経症状を認める上咽頭癌に関しては, 治療開始前に胃瘻造設を行い適切な栄養管理を行うべきだが, 胃内容逆流の誤嚥リスクに対して厳重な観察を加えて, 慎重に行う必要があると考えられた.

著者関連情報
© 2017 日本口腔・咽頭科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top